このひとつの世界には、ほんとうにたくさんの生物が共存しています。菌類、藻類、植物たち。そしてバクテリアから昆虫、魚からヒトに至るまでの動物たち。なかでも動物は100万種以上存在するそうです。
そんな多種多様な動物たちがともに暮らしている海や森や町を、私たち人間はあたりまえのものとして眺めています。ですが、本当にその海は海で、森は森で、町は町なのでしょうか。ちょっと哲学的な問いですが、これはギョーム・デュプラ氏による『動物の見ている世界』という絵本を開くと自然に湧いてくるクエスチョンなのです。
動物たちの見る世界
この絵本には、とてもかわいらしい仕掛けがあります。ページをめくるごとに、肩から上の正面を向いている動物たちに出合うことができるのです。この動物たちは全員、まるでスキーのゴーグルのような「仕掛け」を持っています。
ゴーグルの部分をめくると、それぞれの動物が見ている「世界」の風景が現れるのです。
発想を自由にしてくれる猫はかなりの近視で、じつは遠くがよく見えていなくて、色合いもみどりがかって見えているとか。鳥の中には、驚きの360度の視界を持っているものがいるとか。昆虫の見ている世界は、ほぼモザイク模様になっているとか。
それぞれの生きものには、それぞれの世界のとらえ方があるんだ!
そんな驚きと「発見」に満ちているこの絵本は、子どもにとってはもちろん、固定観念にしばられてしまった大人たちを解放してくれる、すてきな魔法を持っているようです。
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