「これは僕の本当の人生だろうか? それとも予告編だろうか?」
(『ピーナッツと谷川俊太郎の世界』P24より引用)
これはスヌーピーでおなじみの漫画『ピーナッツ』(チャールズ・シュルツ)の登場人物、チャーリーブラウンの言葉です。
今の人生が本物なのか、それともこれから「本当の人生」がはじまるのか。誰かに問いたくなる気持ち、誰もが一度は抱く問いではないでしょうか。すごく共感できます。
谷川俊太郎さんが言う「優しさに近い何か」この発言者・チャーリーブラウンは友達のルーシーにこのセリフを投げかけるのですが、漫画のなかに答えは描かれません。ただ人生に悩むチャーリーと、その話相手になってやるルーシーという友達がいて、「すぐに答えは見つからないけど、友達とユーモアがあればなんとかなるさ」と示してくれるのです。
「優しさに近い何かのような気がするのだ」
(『ピーナッツと谷川俊太郎の世界』P157より引用)
と、『ピーナッツ』の漫画の翻訳を手掛けた谷川俊太郎さんは言います。
より現実的でありふれたふるまいにある「愛」たしかに『ピーナッツ』の世界には、子どもが登場するにもかかわらず、子どもだましの「教科書的な解決方法」は示されません。むしろ困惑や憂いが多く描かれています。でも、そんな人生の「悩み」に、この漫画は優しさで答えてくれるのです。
「 だれでも知ってることよ、マーシー、友だちが病室を見上げてくれるってわかったら、病人は早くよくなるわ......」
(『ピーナッツと谷川俊太郎の世界』P144より引用)
「気合いと愛があれば病気は吹き飛ぶさ!」とは『ピーナッツ』の仲間は言わないのです。より現実的で、ありふれたふるまいにある愛。それが、読み手の心にじんわりと広がってきて、心がふわりと癒されていくようです。
最後に、世界一有名な犬・スヌーピーの名言を。
「ぼくはすてきな空をもってるって!」
(『ピーナッツと谷川俊太郎の世界』P124より引用)