その年によって異なりますが、現代のカレンダーに置き換えると、マカヒキは10月ごろから始まって、2月ごろまで続きます。日没直後に地平線からプレアデス星団(すばる・ハワイ語ではマカリイ)がのぼる時期が、マカヒキの始まりの目安になります。
この期間、人々は豊穣と農業の神「ロノ」を奉り、仕事をせず、歌や踊り、ゲーム、スポーツに興じます。レスリングや槍投げ、ダイビング、サーフィン、カヌーレース、凧揚げなど、さまざまなスポーツの大会が開かれましたが、とくに人気だったのはボクシングだったようです。囲碁のように白黒の石を使うボードゲームや、日本のあやとりによく似たゲームも人気がありました。
マカヒキの間は、部族間の戦争や沖での漁が禁止されていました。
じつは今でもこの習慣は引き継がれているのです。マカヒキの期間は「アロハ・フェスティバル」と呼ばれ、各島で約2か月に渡りなんと300ものイベントが開催されています。特に有名なのは、オアフ島のダウンタウンとワイキキで開催されるブロックパーティー「ホオラウレア」で、パレードやフラ、音楽のパフォーマンスの他、たくさんのフードブースが立ちならびます。
マカヒキの発祥地はハワイ島のコナと言われています。なぜならば、ロノ神はコナに住んでいたと考えられていたからです。ロノは雨の神様でもあるのですが、マカヒキの時期はまさに雨季に当たります。離島に生きるハワイアンとって、雨は生存を左右する重要なものでした。雨季に雨をつかさどるロノ神を讃えることは、ごく自然なことだったのだと思います。
写真:Hawaii Tourism Authority (HTA) / Tor Johnson