ハワイ島はいま「溶岩流」のために騒然としています。世界で最もアクティブな火山といわれるキラウエアから流れ出た溶岩流が、現在住宅街に向かっているのです。
9月15日の時点で、溶岩流はプナ地区の中心パホアの町にまっすぐ進んでいます。このままいくと、9月24日から26日までに溶岩がハイウェイ130号線に達し、町を直撃すると予想されています。
この溶岩流は、キラウエアのイースト・リフトゾーンにあるプウ・オオ火口で6月27日に発生したもの。約3か月じりじりと北西に向かって流れ続け、9月4日には人口の少ない住宅地、カオヘ・ホームステッドまで1.3Km以内に接近しました。
溶岩は9月6日に進路を北に変更し、現在、パホア目がけて1日約400mのスピードで直進しています。ハイウェイを分断されてしまったら、南プナ地区の住民約8,000人が閉じ込められてしまいます。
火山の女神と共存する人々驚いたのは、この事態を「ペレのすることに文句は言えない」と冷静に受け止めている人がたくさんいるということ。「ペレ」とは火山の女神で、キラウエアの火口に住むといわれています。溶岩流はペレの一部と解釈され「ペレが来る!」という表現もよく耳にします。ハワイアンにとって、ペレはとても重要な女神であり「ペレの土地を借りている」という意識があるのです。
ハワイ島では、溶岩が住宅地に迫るのははじめてのことではありません。キラウエアは1983年に噴火し、以来31年以上活発な火山活動を続けています。この間に200軒以上の住宅と、14km以上の道路が溶岩に飲み込まれてしまいました。1990年には、プナ地区の漁村カラパナと、美しいブラックサンドビーチと共に、3つの新興住宅地も溶岩に飲まれてしまったのです。「聖なる森を開発したので、ペレの怒りに触れた」と考えている人がたくさんいます。
いま、南プナも開発ラッシュ中。ペレが怒っているのでしょうか――。ハワイ島は今でも神話が生きている場所です。
[USGS Hawaiian Volcano Observatory]
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