来月の10月19日に、東京で行われるイベントに参加する事になりました。ステージに立つのはNYに引っ越して以来なので約2年振りで、しかも今回は珍しくクラシックの演奏家の方と御一緒させて頂き『ぞうのババール』という絵本の朗読をします。ご存知の方も多いと思いますが、『ぞうのババール』はフランスの代表的な絵本のひとつで1931年にフランスの作家ジャン・ド・ブリュノフによって誕生しました。その後、アニメーションも制作され、今では日本はもちろん世界中に愛されるキャラクターになっています。
この絵本が生まれたきっかけは、ジャンの妻セシルが彼らの子供達の寝かしつけ時に自作で語った物語でした。その想像力豊かな内容に感銘した彼は、その話を元に絵を描いて、絵本を出版する事にしたのです。
するとたちまち『ぞうのババール』はフランス中で話題となり、数年後にはイギリスやアメリカでも人気を博しました。しかしその後、ジャンは37歳という若さで病死してしまうのです。家族は悲しみに暮れましたが、長男ロランが20歳という若さで父ジャンの道を受け継ぎ、続編を出版したのでした。
お母さんをハンターに殺され、ジャングルから都会に逃げてきたババール。そこで親切な老婦人に出会い、服や車を買ってもらい学校にも通わせてもらいます。
やがて故郷が恋しくなったババールは自家用車で育った森に帰ります。毒キノコを食べて死んでしまった王様の跡継ぎに都会で教育を受け、文明を持ち帰ったババールは王様に就任します。
『ぞうのババール』は1931年、国際植民地博覧会があった年に出版されましたが、実はこのババールの物語は、植民地主義を正当化しているとの物議がかもされているのです。ババールは子供向けの童話ですが、このくだりを考えると大人にとっても興味深いものとなるはずです。
この『ぞうのババール』に音楽を付けた作曲家がいました。20世紀前半のフランス6人組と云われる作曲家集団の1人であり、原作者のジャン・ド・ブリュノフとは親しい知人であったフランシス・プーランク Francis Jean Marcel Poulenc です。第2次大戦中に彼はいとこの子供達にせがまれて、この絵本に音楽をつけ始め、1945年頃に完成したと言われています。
そして1994年には、私も大好きなフランスを代表する女優ジャンヌ・モローの朗読によってアルバムも制作されました。ジャン=マルク・ルイサダのピアノに、彼女の圧倒的な存在感が際立った素敵な作品です。その他にもフランスのシャンソン歌手ジャック・ブレルや、日本でも何と忌野清志郎さんが、1989年に絵本の訳者である矢川澄子氏の立会いの中で録音されています。
今回のステージは、あえてババールのアニメーションなどは投影せず、シンプルに音楽を鑑賞できる雰囲気にするそう。ババールのお話が子ども達の寝室で誕生した時のように、私達と一緒にイマジネーションを膨らませて音楽やフランス語のお話を楽しんで頂けたら嬉しいです。
ステージは2部構成になっていて、第2部に私の朗読が予定されています。第2部を子供と一緒に鑑賞出来る、ハーフタイム親子券というチケットも限定で14日から発売するそうです。
私にとってもクラシックの素晴らしい演奏家の方と御一緒させて頂ける貴重な機会なので、ぜひ観に来て下さいね!
[コンサート・ババール 公式ホームページ、コンサート・ババールFacebook]
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