「収入」や、「発想や工夫を持って取り組める環境」というのは会社に左右されますが、「お客様から感謝されること」は自分の力でなんとかできそうです。
焦ると気づかえなくなるお客様に感謝されるために必要なスキルと言えば、まっさきに「気づかい」を思い浮かべます。
気づかいとは、「相手を喜ばせるために、自分の軸を持ちながらも、相手の側に立って物事を見つめること」だと説いているのが、料亭で日本古来の和の気づかいを、三越で商人の気づかいを、ディズニーで洋の気づかいを学んできた上田比呂志氏です。
「それって当たり前のことでは?」と思いがちですが、たとえば買い物に出かけて、商品を手にした瞬間に店員さんがやってきてすかさず商品の説明をはじめて、品物を吟味する暇を与えてくれなかったり、また営業先でも、挨拶もそこそこにすぐさま提案プランを切り出す人もいます。
もちろんその人たちも冷静なときは相手目線の大切さをわかっているはずなのに、ノルマに追われて焦るばかりに、相手のことが見えなくなってしまうです。
ひと呼吸置いて、心を整える焦りからくる失敗を回避するにはどうすればいいのでしょうか? それは上田氏の著書『「気がきく人」の習慣』に書かれていました。
歯を磨くのでも、深呼吸でも、肩を大きく回すのでもいい。重要なのは、「これからお客様中心に考える」と自分の心に伝えることです。おもてなしは、非日常の世界ですから、ひと呼吸置き、心を整え、ステージに出るようにしましょう。
すると、物事がよく見えるようになります。
(『「気がきく人」の習慣』192ページより引用)
一拍置くことで、自分自身を乱れなくお客様を受け入れられる状態にしておく。すると焦りからくる失敗も回避でき、相手の側に立った接客ができるのですね。そんな人に接客してもらえると、客の立場としても感謝したくなるものです。
ひと呼吸置いて、心を整える。仕事をするうえで忘れたくない気づかいです。
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