夏の夜、南の空を彩る「さそり座」は、ハワイでは「マウイの釣り針」と呼ばれています。

「マウイ」とは、ハワイだけでなくポリネシアに広く伝わる半神で、いたずら者の英雄として親しまれきました。とてもたくさんの伝説が残っていますが、中でも有名なのが「マウイの釣り針」の物語です。

ある日、マウイは兄と一緒にカヌーで釣りに出かけました。マウイの釣り針に獲物がかかり、引っぱっても動きません。どうやら大物のようです。

じつは海の底に針が引っかかっただけだったのですが、マウイは力のかぎりをつくして魚を釣り上げようとしました。激しい格闘の末、ようやく魚を釣り上げたと思ったところ、獲物は魚ではなくなんとハワイの島々だったのです。

怪力でハワイ諸島を釣り上げてしまったマウイは、この偉業を忘れないように釣り針を空に投げ、それが「マウイの釣り針(さそり座)」になったといわれています。

ハワイで初めてこの星座を見たとき、とても驚きました。日本で見るよりもはるかに高い位置にあるうえに、ひとつひとつの星がびっくりするくらい大きく見えるのです。空気がきれいで、日本の都市にくらべると暗いせいでしょう。

1等星のアンタレスは、ワイキキビーチでもまぶしいくらいに赤く輝いて見えます。これくらい大きな釣り針ならば、ハワイの島々を釣り上げられるかも? 夏にハワイを訪れたら、「マウイの釣り針」は必見です。

ちなみに、釣り針をかたどったアクセサリーは、ハワイでは幸運の印として知られています。身につける人に力や繁栄をもたらすといわれ、旅のお守りとしても人気があります。

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