コレステロールと聞くと、まるで「ダイエットの天敵!」と考えてしまいがちですよね。そもそも、コレステロールは本当にそんなに悪いものなのでしょうか。世間でよく言われている代表的な「コレステロールにまつわる迷信」を集めてみました。
1. 卵はコレステロールの塊である卵の摂取とコレステロールの因果関係はよく言われることです。卵にコレステロールが含まれているのは事実ですが、このコレステロールは「植物性コレステロール」(善玉コレステロール;HDL)と呼ばれるもの。
米国心臓協会の提唱するコレステロール値は1日に300mgですから、卵1個ですでに200mg以上と聞けば、確かに多いかもしれません。
しかし卵に含まれる「コリン」という成分には中性脂肪の量を調節する働きがあり、内臓脂肪や体脂肪を増やすことがないのです。
血中コレステロール値を上げてしまう「動物性コレステロール」よりは、はるかに優れた栄養素であることは明らかです。卵はプロテインを含み、不飽和脂肪酸・必須アミノ酸もバランスよく含まれている「栄養食品」ですから、週に2~3回食べる分には、全く問題がないでしょう。
2. 「コレステロール値ゼロ」食品は心臓によい
コレステロールというと、血糖値をぐんと上げてしまい、血管壁に入り込み、動脈硬化を促進させる、というイメージが先行しがちです。ドレッシングやマヨネーズなども、卵を使用せずに植物性素材を使ったものが「コレステロール・ゼロ」商品として売られていますが、これらが、実際に心臓によい働きをするのかどうかははっきりしません。
悪者扱いされているコレステロールですが、食事から摂り入れた脂肪の消化吸収に必要な胆汁酸やホルモンの原料になるなど、人間が生きていくうえでは必要不可欠な栄養素です。コレステロールより悪いのは、トランス酸と呼ばれる動物性脂肪(※)です。
※マーガリン、ショートニングやラード、それらを使ったケーキ、アイス(俗に言われる"プラスチック・ファット"で、口当たりを滑らかにするのに使われる)など。
これらを多く摂りすぎるとアテローム(粥状隆起) の原因となり、これらが血管を狭めれば高血圧に、さらに毛細血管に詰まった結果、脳梗塞になることもあります。
ですから、動物性脂肪をできるだけ過剰に摂取しない食事をするようにしましょう。
3. コレステロールはとにかく悪いもの「HDLは善玉」「LDLは悪玉」という見方が一般的ですが、本来は善玉も悪玉もない、両方とも私たちにとっては必要不可欠な栄養素です。それに、その時々によってコレステロール値は増減しますので、基準値内である場合には、全くコレステロール値を気にする必要はないのです。
コレステロールとは、細胞膜・胆汁酸・各種ホルモン・ビタミンD前駆体の原料で、栄養分の分解を行い、健康な体を維持するにはなくてはならないもの。食事から摂取できますが、私たちの血に含まれる75%のコレステロールは、肝臓と小腸、その他の体内の細胞で合成されています。
量よりも質に気をつけるコレステロールというと「下げなければいけない」と考えすぎる方が多いでしょうが、量だけでなく、「質」の問題であることに注目すべきです。私たちに必要なのはやはりバランスのいい食事をして、栄養素をまんべんなく摂ることと言えるでしょう。
コレステロールだけに過度に気をとられず、ストレスをためない程度に「食」について真剣に考えるべきではないでしょうか。