オクトバーフェストで有名な大きなブレッツェル、ライ麦やハーゼルナッツ・レーズンなどをふんだんに混ぜ込んだどっしり黒いパン。ベーグルに似たもっちり感とやわらかい歯応えのある、ポテトパン。香ばしい甘さの炒め玉ねぎをふんだんに使ったバゲットなど、種類豊富にそろっています。
二酸化炭素の意外な影響いっぽうで以下のような調査結果もあります。
地球温暖化により、CO2が私たちの口にする野菜や果物自体の成長だけでなく栄養価・味にまで大きく関与しているとあきらかになりました。
(調査元:Braunschweiger Thünen-Instituts für Biodiversität, Germany)
たとえば、小麦粉に含まれるプロテインは1999年から5-10%減少してきているのだそう。先ほどのドイツパンの場合、このプロテインが一役かうはずの「もちもち感」が減り、故に、ほかのもので調整せざるを得ないことから食感にまで影響を与えているというのです。
これを裏付けるように、イギリスの雑誌「ネイチャー」に発表された論文には、大気中のCO2濃度が濃くなるにつれ、微量元素(動植物の中に微量に存在、生理過程の重要な役割を担う)量が減り続けていくという記述が。
さらにサミュエル・マイヤーズ氏率いるハーバード大学の調査では、2050年までに小麦粉に含まれる亜鉛の量が現在より10%減少、鉄分に至っては5%の減少が予測されるということです。
小麦は代用品で済ませられる?二酸化炭素が増えることが植物の成長を促進させるという事実もあります。農家にとっては、野菜がうまく成長せずに売れないリスクを考えれば、むしろありがたいことかもしれません。また、微量元素が少ないのならば、パンだけに頼らず、たとえば豆や肉などの他の食品からも摂取すればいいという考え方も少なからずあるでしょう。
しかし限られた穀物や食品に頼らなければならない貧しい国もあることを考えなければいけません。
野菜や他のもので栄養補給のできないこれらのような国の人々にとって、主食の栄養価が変わってしまうということは、味や見た目以上に深刻な意味を持ちます。地球の温暖化は、実はこんなところにも影響を与えているのです。
[Thünen-Instituts für Biodiversität]
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