よく知らない人は南国の豊かな島での自給自足と思うかもしれませんが、ジャングルの自然の厳しさは私たちの想像の域を超えるもの。西表島といえども冬は想像するよりもずっと寒いし、夏から秋にかけてはいつ台風がやってくるかわかりません。そんな過酷な大自然の中で、悠々自適に人生を楽しむターザン。
夜の海をひとり素潜りで魚を突き、密林に分け入りイノシシを狩る、マングローブに生息する貝の在り処を嗅覚で嗅ぎ取りとるという、尋常ならざる自給自足暮らしぶりは、島の男たちからも一目も二目も置かれる存在だったそう。
人の可能性って無限『イリオモテのターザン』はそんな伝説のターザンこと恵勇爺を描いた本。泡盛を愛する相当の飲んべぇでもあるターザンの酔っぱらい話も面白く、その豪快な人柄には思わず手をたたきたくなります。
身ひとつで生きるターザンの想像を超えたサバイバル術を通して、八重山の自然と、人が生きることの本来の喜びや感謝といった感情が何であるかが描かれています。きっと、読み進めるうちに「本当の豊さ」や「人間の持つ無限の可能性」について考えずにはいられない自分に気づくはず。
日々、都会で粛々と生きる人にとっても共感できる"生きる力"が詰まった一冊です。もちろん、西表島横断や無人島でのサバイバルキャンプに興味がある人は必読です。
『イリオモテのターザン』
著者・挿絵/水田耕平
定価/2,052円(税込)
[やいまねっと]
tropical-sunrise via Shutterstock
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