まず、「レイを断る」ことは最大のタブー。レイは必ず受け取らなければなりません。レイを受けとるときは、贈り手の「マナ(スピリッツ)」を受けとることでもあるからです。レイを断ることは、贈り手のマナを拒絶することになってしまいます。
たとえば、国際会議の取材で、来賓と勘違いされてレイを頂いてしまい、すぐにレイを返しに行ったことがありました。ところが、「レイを返すというのは、見たことも聞いたこともないので、そのまま身につけていてください」とのこと。レイを返すということは、ハワイではあり得ないことなのです。
また、贈られたレイを、贈り手の前で首からはずすことは、とても無礼なこととみなされます。どうしても外さなければならないときは、席を外すなど目立たないように行う配慮が必要です。
レイを首飾りのように胸に下げている人が多いのですが、胸と背中にレイが均等にかかるように下げるのが正式な身につけ方です。
ハワイの各島には、その島のシンボルとされるレイが指定されています。たとえば、オアフ島は黄色いイリマのレイ、ハワイ島は赤いオヒアのレイがシンボルです。メリーモナーク・フェスティバルなどの大きなパレードに登場する「パニオロ(カウボーイ)」や「パウ・ライダー(女性騎手)」は、それぞれの島のレイを飾り、馬や馬具もレイで華やかに飾られています。
ハワイ島のパウ・ライダー
ハワイにレイをもたらしたのは、ポリネシアからカヌーでやってきた移住者たちです。ポリネシア人はレイ作りの名人でした。自然のすべては神聖な神から授けられたものと考えられていたので、神に捧げる神聖なものとして植物でレイを作ったのです。レイの作り手は、自分のマナをレイに編みこみます。
ハワイのレイは単なる花輪ではなく、とても神聖なものなのです。
woman and child image via shutterstock