バイオダイナミック農法とは一体どのような農法なのでしょうか。イギリスのバイオダイナミックアグリカルチュアルカレッジで講座を受けてきました。
Biodynamic Agricultural College(バイオダイナミックアグリカルチュアルカレッジ)は、ロンドンから車で二時間弱の自然豊かな場所にあります。
バイオダイナミック農法は、教育学者・人智学者で有名なルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法で、自然のリズムと調和しながら健康な土壌をつくり、持続可能な農業を目指そうというもの。今から90年程前に生まれました農法で、現在はヨーロッパを中心に世界中の農家で実践されています。
講座では、バイオダイナミック農法で欠かせない調合剤づくりや堆肥の作り方について教わりました。
バイオダイナミックの農法で欠かせないのが、ハーブや家畜、鉱物など天然の素材から作った調合剤。
牛糞を牛の角に詰めて土の中にひと冬埋めたもの(Horm Manure)や、同様に水晶の粉を牛の角に詰めて土の中にひと冬埋めたもの(Horn Silica)、オークの樹脂を家畜の頭蓋骨に詰めてひと冬寝かせたもの(Oak)、ヤロウを鹿の膀胱に詰めてひと冬木に吊るしたもの(Yarrow)などを使用します。
かなり特殊な材料で家庭で作るのは困難なので、Biodynamic Association(バイオダイナミックアソシエーション)から取り寄せました。
これらの調合剤を雨水に入れて1時間かき回し、出来上がった調合剤は小さなホウキに漬けながら土壌に撒きます。この調合剤を撒くことで、土壌に養分を供給し、大地の生命力を高める効果があるのだとか。
また、バイオダイナミック農法では天体のリズムに則って作物の栽培を行います。
このリズムに則って農作業をするだけで作物の成長や収穫量、はたまた保存日数までもが大きく変わってくるのだとか。バイオダイナミックカレンダーには、植物が実を育てる野菜、葉もの野菜、根菜、花の4つに分類され、それぞれ種を撒いたり収穫したりするのに相応しい日付や時間が記されています。
通常の農作業に比べて決まりごとが多いのですが、実践しているうちに天体の動きがより身近に感じられ、自分自身も自然のリズムに調和してくるような感覚に。
日本の環境でバイオダイナミック農法を個人で行うのは難しいかもしれませんが、まずはバイオダイナミック農法の食品やワイン、化粧品を取り入れることで、そのエネルギーを感じてみてはいかがでしょうか。