「マラマ・ホヌア(to care for our Earth))と名づけられたこのプロジェクトは、よりサステナブルな未来にむけて、環境や自然保護の大切さを世界に伝えることを目的としています。昨年は世界航海に先がけてハワイ各地をまわり、さまざまな教育プログラムが実施されました。
今年5月17日からスタートした世界航海では、ホノルルからまずヒロに立ち寄り、タヒチをめざします。2艘のカヌーは2017年までの3年間に5万マイル以上を航海し、少なくとも26カ国、85港を訪れる予定です。
1975年に作られたホクレアは、ハワイ文化復興のシンボル的な存在。羅針盤や海図といった近代的航法を使用せず、星や月、太陽、潮の流れ、波、魚、鳥など自然を読み解く方法でなんと35年以上も航海をおこなってきたカヌーです。二酸化炭素をできる限り排出せず、動力には太陽と風の力という自然エネルギーを基本的に用いています。
現代のテクノロジーを使わずに世界航海なんてできるの?と驚いてしまいますが、失われかけていた古代の航法と航海カヌーは、ホクレアの成功によってポリネシアで見直されるようになりました。
しかし、今回の世界航海では、古代人の英知に加えて現代の最新テクノロジーも導入しています。護衛船としてホクレアと共に世界を旅するヒキアナリアには、ソーラーパネルと衛星アンテナが設置され、インターネットでの通信も可能です。2艘のカヌーの航海を中継して、世界中の人たちと航海をシェアするという新たな試みも行われます。ホームページでは、グーグルマップ上に航路が表示されているので、どこを通っているのか知ることができます。
できるかぎり自然の素材で作られ、自然の力で航海を成功させてきた木造のカヌーには、エネルギー問題をかかえる現代社会に必要な知恵や気づきがつまっているはず。自然と人間のつながりを通して、アロハの心を世界中に伝えてほしいと思います。