インドの代表的なテキスタイルといえば、木版を使って手作業で染めていくブロックプリント。あざやかな色彩と草花をモチーフにしたデザインのブロックプリントが有名ですが、インド西部、グジャラート州のカッチ地方に伝わるアジュラク染めはすこし異なり、インディゴやターメリック、茜などの天然素材を用いた落ちついた色とイスラミックな文様が特徴です。
夜空に浮かぶ星のような深いインディゴブルー
「アジュラク」はアラビア語で「藍(インディゴ)」という意味があり、深みのある インディゴブルーで染められた布地と幾何学文様のデザインは、まるで夜空に浮かぶ星の情景のようにみえます。
アジュラク染めはパキスタンにルーツをもつイスラム教の部族によりつくられており、現在は数か所の村でしか生産されておりません。近ごろは安くて手軽な化学染料を使ったり、またデザインはそのままに、ブロックプリントよりも手早くプリントできるシルクスクリーンの技法を使った生地が市場に出回っているようです。
手間ひまをかけた手仕事の魅力昔ながらの天然染料と木版で染められたアジュラク染めは、染色とプリントを何度も重ね、そのつどの水洗いや天日干しなど約15~20ほどの工程を経てつくられています。職人さんの間では「アジュラク」という言葉は「Keep It Today(今日はそのままに)」という意味もあるそう。ゆったりとした時の流れの中で長い時間と手間ひまをかけて染め上げられるテキスタイル、アジュラク染め。近代化によってその伝統が失われないよう願うばかりです。
[Khamir]
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