でも、湧き水や川などの水源がないのにどうして水が枯れないのでしょうか? それは、湖の下に永久凍土が残っているから。ワイアウ湖は永久凍土の上に形成された、とてもめずらしい湖なのです。
ワイアウ湖はハワイアンにとってきわめて重要な場所。ワイアウ湖の水は、ハワイで最も高い場所にあるため「ハワイでもっとも神聖な水」としてヒーリングや儀式に利用されてきました。マウナ・ケアとつながりの深い人びとはワイアウ湖を「生命の源」とみなし、赤ちゃんのへその緒を湖に沈めて健康を祈願してきました。そんなハワイアンの風習は現在も引きつがれているのです。
その神秘の湖がいま、消滅の危機にさらされています。湖の水が危機的なスピードで減っているのです。
調査によると、2012年10月から2013年9月のあいだに劇的に水位が減ってしまい、2013年9月には、通常時のわずか2パーセント、115平方メートルまで小さくなってしまいました。3メートル以上あった水深もいまでは30センチメートルほど。現地を訪れた観光ガイドによると「大きめの水たまりくらいの大きさ」まで縮小していたそうです。
2010年に深刻な干ばつが数か月続き、その後、降雨量が平均を下回り続けていることが原因のひとつと考えられていますが、はっきりした理由はいまのところ分かっていません。温暖化の影響も指摘されています。先月降り積もった雪のおかげで少しは湖の水が増えたようですが、まだまだ心配な状況です。
マウナ・ケアには4姉妹の女神が住んでいるといわれています。ワイアウ湖の名前は湖を守る女神「ワイアウ」にちなんでいます。マウナ・ケアの山頂付近は、天文台銀座と呼ばれるほど開発が続いています。また新しい天文台が建設されることも決定しました。女神たちは開発ラッシュを喜んでいないのかもしれません。このままいくと聖なる湖は消えてしまう可能性が高いのです。