偉大な世界の建築物を目にした時、圧巻されるだけでなく、この建物は一体どんなことを目にしてきたのだろう? と思いを馳せることがあります。
そんな想像力を実際に映像にすべく、映画界の巨匠たちがつくった「CATHEDRALS OF CULTURE~もしも建物が話せたら~ (仮題)」というドキュメンタリーフィルムがあります。これは、世界の有名な6つの建築物を6人の監督がそれぞれ撮ったショートストーリーです。
有名建築物をアーティスティックに表現
たとえば、通常の音楽ホールとは異なり360度から観客が取りかこんで鑑賞できるベルリン・フィルハーモニーコンサートホール(ドイツ・ベルリン)。これは、「パリ・テキサス」(1984年)のヴィム・ヴェンダース監督の目を通して描かれます。
また、マイケル・マドセンは、清潔で明るく快適な、「世界一人道的」だとされるハルデン刑務所 (ノルウェー・ハルデン)を撮影。ロバート・レッドフォードはソーク研究所 (アメリカ・ラホーヤ)、カリム・アイノズはポンピドゥー・センター (フランス・パリ)などをそれぞれ独自の視点で撮っていきます。
もし建物が話せたら......?
これらのショールフィルムを通じて、監督たちは建物に「解釈」を与えます。「建物がもし話せたら、一体どんなことを思うのだろうか」と。「自分たちの中で行なわれていることについて、何を思うだろう」ということまでも。建物とそれを使う人間の目に見えない「ふれあい」から生まれるものや、さらに社会にもたらすものについて、不思議でロマンが感じられる想像の世界が広がっていきそうです。
この映画は、すでに2013年の第66回カンヌ国際映画祭で制作発表がおこなわれています。来たる2月の第64回べルリン国際映画祭で、ワールドプレミア上映されるのだそう。実際に観られる日がとても待ち遠しいです。
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(下野真緒)