よしもとばななさんの著書に、こういう一節がありました。
せめて本気で恋をして、すごく好きになった人に失恋したのならよかった。
本当に仕事が忙しくて、仕事が好きだったらよかった。
私はただばたばたしていただけで、忙しいというものではなかったような気がする。
(中略)
自分に自信がなくって、生きてることに罪悪感があったから、
自分を好きと言って言い寄ってくれた人を貴重に思わなくてはいけない、と思ってしまったのだ。
本当に好きだったのなら、気が狂うほど泣いて本当に狂ってしまっても、
雨にうたれる木々のように色鮮やかだろう。」
体は全部知っている「おやじの味」P166~167より引用
罪悪感を感じたままお付き合いをしていると、相手にも失礼だし、自分にも後悔が残ります。そして自信がなかったり寂しいと感じているときは、自分と他人を比較しているときかもしれません。
そこで寂しがりやの自分のためにしてあげられることは、ひとときの偽りではなく、「このお付き合いは、たとえどんな結末が待っていたとしても、きっと雨にうたれる木々のように色鮮やかだろう」そう、少しでも思うことのできる相手と出会うまで、自分の心とゆっくり向き合ってあげることなのかもしれません。
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(知恵子)