山に籠らなくても、近頃では「瞑想をしたおかげで、こんな効果があった」という話を聞くようになりました。
どうやら瞑想は心と身体を健やかにしてくれるらしい。そう興味を持ったのは良いけれど、当初はその種類の多さに戸惑いました。その後、インタビューや書籍、セミナー、各種ヨガの受講などを通して勉強しながら、自分なりにわかりやすく瞑想のタイプを分けてみました。
「これから瞑想をはじめてみようかな」「自分にはどの瞑想が合うのかな?」と思っている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
"感情派タイプ"におすすめ『自覚する瞑想』自分の状態や気持ちや考えを自覚する瞑想です。
ブッダが悟りを開いたことで有名なヴィパッサナー瞑想もこれになります。たとえば、怒りに没頭しているときに「怒っている」と自分の状況を自覚するのは難しいものですが、日頃から、いまどういう状態で何を思っているのかと客観的に自分を見つめ、また「座っている」「感じている」といった状況を中継する瞑想を続けることで、感情に振り回されずにすむようになります。
(ヴィパッサナー瞑想、マインドフルネス瞑想法など)
"我慢するタイプ"におすすめ『感じる瞑想』体の内や外、また気の流れを感じる瞑想です。
身体の硬さ(=身体の緊張)や内臓の重み、また手などで感じるピリピリしたり温かかったりする気の感覚など、自分の体の内外を一つ一つ丁寧に感じとる瞑想です。感じることに集中しているときは、余計な思考や感情が入ってこなくなります。また日常で無視されがちな自分の身体の声に、耳を傾けられるようにもなります。
"想像力豊かなタイプ"におすすめ『イメージする瞑想』一種の自己催眠のように、特定のイメージを思い描く瞑想です。
目的によってイメージする内容や象徴が若干異なりますが、西洋魔術や精神世界の瞑想法は、ほとんどがこちらになります。また過去世療法やヒプノセラピーでも用いられます。
ダライ・ラマ14世が毎日行っていることで有名なトンレンもイメージによる瞑想になります。想像すること自体が苦手というタイプの人には難しいかもしれません。幸福感を得られやすいのが特徴です。
(トンレン、ゴールデン・ドーンのパスワーキング、過去世(前世)退行瞑想など)
"没頭するタイプ"におすすめ『集中する瞑想』何かに集中して、それ以外の雑念をなくす瞑想です。
密教やインド哲学に多くみられる瞑想法です。阿字観であれば「阿」に集中する、マントラの言葉を唱える、音を聴く、数を数える、物を見つめるなどいろいろありますが、どれも対象に集中することがポイントです。
もともと没頭するタイプの人にとっては比較的やりやすい瞑想です。集中していた対象にまったく心を動かされなくなったときは、執着が消えているときだと言われています。
(阿字観瞑想、プラーナーヤーマ、マントラ・ヨーガ、サマタ瞑想、読経、写経など)
"思考タイプ"におすすめ『ありのまま瞑想』他の瞑想のようなコントロールは一切しない瞑想です。
自分の心の動きを自覚をするので「自覚する瞑想」とは似ていますが、実況中継するわけでもなく、ただその状態を主観を交えずに体験するだけです。たとえば、坐禅をするとさまざまな思いが浮かんでは消えていきますが、それに対して判断せず、思いは思いのままにまかせ、体と息を調えて坐ります。思考につきものである「良い・悪い」と判断する裁き癖もなくなっていきます。
(禅、観照、ゾクチェンのセムデなど)
これらの分類は入門向けになります。少しずつ深めていくと、また別の見方が出てきますが、まず単純に「自分がやりやすい、または自分がやってみたい瞑想というのはどういった瞑想になるのか」を知るきっかけになれれば嬉しいです。
[ヨガ哲学・実践編【プラーナとプラーナーヤーマ(調気法・呼吸法)】1,アイアンガーヨガとは,阿字観,坐禅の作法]
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(知恵子)