星占いに心を躍らせ幸せな未来を想像したり、満月に願い事をしてみたり。なんらかの形で月や天体と関わりたいという想いが、どこかにあるものです。
でもそれが時折、自分を曲げてむりに天体リズムや占いに合わせようとしてしまうことがあります。そして、そんな自分に気がついたとき「占いとどうつきあうべきなのかな」と思い悩むことも。
占い好きな人なら1度は経験するであろうその悩みを、マイロハスの星占いコーナーで御馴染みの石井ゆかりさんが、著書『月のとびら』でやさしく紐解いてくれました。
占いとのつきあいかた占いとのつきあいかたについて、石井さんはこのように書いています。
未来に怯え、他人の目を恐れ、占いにしか自分の可能性を見いだせなくなってしまったときには、1度、深呼吸してみて下さい。
そして、「未来がどうなるか」ではなく「今をどう生きるか」を、考えることを試してみてください。(P.192)
たとえば同じテーマで何度も占ってしまうことがある。でもそれは未来しか見ていない、今をないがしろにした状態とも言えそうです。
月に願いごとをするときは月に願う姿勢についてはこのように書かれています。
「これをしたから、こうなる」ではなく、私たちの内なるイメージと、天空のイメージとを「重ねる」ような気持ちで願い事をすれば、たくさんの夢を味方に付けられるのではないかと、私は思います。
(P.62)
「こうしなければ」に気を取られるのでなく、もっと自分の内なるイメージを大切にしてあげていいのだと、励まされるような一文です。
仕事から帰宅して月を見上げると、まるで月から「おかえり」と言われている気がします。それは昼間外に向いていた心が、自分の内にもどってくる時間になったよという、「おかえり」なのかもしれません。『月のとびら』を読んでいたら、自然と「自らの内なる月」と対話していることに気づき、読み終わったときには、月の優しさに触れたような気持ちになりました。
この本には占いに関してだけではなく、「月の目で見て、月の時間を生きる」ことの意味など、月に関するさまざまな伝承や逸話をまじえて、石井さんの月への想いや占いへの想いがあますことなく綴られていました。
「占いとは」「おまじないとは」「どうあるべきか」と眉間にシワを寄せなくても大丈夫。『月のとびら』を読んでいると、その答えが沁みわたり、いつの間にか心をほぐしてくれるはずです。
[月のとびら]
著者:石井ゆかり
出版社:阪急コミュニケーションズ
価格:1,680円
photo by Thinkstock/Getty Images
(知恵子)