自分らしい仕事ができるようになり、生活も安定。そろそろ将来設計を......と考える時、今のキャリアでできる貯蓄額を計算したり、結婚した場合のライフシュミレーションをしたりする機会が出てきます。
でも、思えば、この先どうなるか分からないのに、自分が生み出すお金や、まだ目に見えないモノ・コトのお金は、どうやって計算すればいいのでしょう?
その仕組みを知りたくて書店に走り、見つけたのが『パンダをいくらで買いますか?(日経BP社) 』。パンダの値段を計算できれば、仕事や結婚など、形のないモノの価値も計れるというセンセーショナルな書き出しに、思わず引き込まれました。
パンダの値段はいくら?パンダはワシントン条約で商業目的の売買は禁止されていますから、公に売買されたことはなく、ネットで検索しても参考価格は出てきません。
(『パンダをいくらで買いますか? 』P.17より抜粋引用)
一般的に価格は、原価に利益を乗せて決めるのがベーシックですが、パンダの場合、上記のように参考価格がなく、生きていますのでそう単純には計算できません。しかし、この本では、その時によって価値が変動するパンダ、そして形のないモノ、コトなどの価値の算出法が分かります。
ちなみに、パンダを手に入れることで増える入園料などの収益、パンダの住まいやエサ代などもろもろの維持管理費、パンダの想定寿命や、人気が落ちる、などのリスクまでを含めた、本書の計算方法で、パンダ2頭を買った時の価値を算出すると8億8,674万円になるそうです。
リアルな数字で見えてくる、自分にとって価値あるものこの本の面白かったところは、結婚相手の将来性や自分のキャリアなど、まさに目に見えないモノの価値を、計算すれば自分で導き出せること。その金額に照準を合わせたライフプランを立てるのもいいかもしれない、でも、お金じゃなく、ココロの豊かさや、ただ大事にしたいモノの価値を見つめていく方が、自分らしいと思えてきました。
また、読んだあとは、投資性があるものだけでなく、日常で購入するモノや、たとえば有機野菜などの価格にも、パンダのような様々な物語があることを感じずにはいられなくなりました。「計算上の価値」を知っておくということは、そのままの意味だけでなく、そこから自分にとって、価値あるモノは何なのか、を知るヒントになる......そんなことも思いました。
[パンダをいくらで買いますか? ]
出版社:日経BP社
著者:野口真人
価格:1,470円
photo by Thinkstock/Getty Images
(Ricky)