自分の住環境を見回すと、いらないモノで溢れていた、という経験をしたことのある人は少なくないはず。結婚式でもらった引き出物、痛くて一度しか履いていないハイヒール、「いつか」読む予定の本、などなど。
でも、生きていくうえで本当に必要なものは、実は少ないのかもしれません。「収納スペースが限られているのなら、モノを減らせばいい。部屋が狭くても、十分快適に暮らせる」という考えのもと、シンプルなライフスタイルを求め、実践する人々が世界中で増えています。
そんな流れにのって、ニューヨークのブルームバーグ市長は、昨年平均300ft2 (28㎡)の「マイクロアパート」を含むビルを丸ごとデザインするコンペを開催しました。
人口が増え続けているニューヨークですが、将来はそのほとんどが単身者となる予定。このコンペで今年1月に発表された「nArchitects」がデザインした部屋は、すべて23〜28㎡で、1〜2人向けの世帯です。
一見とても広そうに見えますが、本棚にベッドが組み込まれ、テーブルは壁にかけられていて、使わないときにはしまっておくことができます。しかも、収納もたっぷり! 大きな窓からは光が入り、ベランダもついています。天井が2.7〜3mあって高いのも魅力です。
この部屋は広い壁面があり、夜はソファーがソファーベッドとなり、移動式のコーヒーテーブルは壁側に移動できます。
今後これらのデザインの部屋が、マンハッタンのEast 27th Streetにレゴブロックのように55部屋積み上げられていき......。
2015年には、このように完成予定。
この建築のために、ブルームバーグ市長は、現在の「新規建造物建築は400ft2以上」という法律を「300ft2」に変えるそう! そんな市長自身も10年間マイクロアパート程の広さのアパートに住んでいて「当時は収納式ベッドのある今回の優勝デザインほど便利ではなかった」と話しています。
日本でも「狭い」と思われがちな25㎡ですが「LESS IS MORE(少ないほうが豊か)」という考えなら、十分な広さかもしれません。
[nArchitects,inhabitat New York City]
(山縣美礼)