フランスの一般家庭では、クーラーがないのが当たり前。夏の気温は日本と同様に日中高くまで上昇するものの、夜になると涼しく熱波がとどまらないという特徴のせいかも知れません。
それでも、南フランスでは30度を越える日は少なくありません。にも関わらず、クーラーなしで過ごせる理由には、ちょっとした簡単な工夫が生活にしみついているのです。
明け方に空気を入れ換え、日中は雨戸を閉め切る
フランスの家には、「ヴォレ」と呼ばれる雨戸が必ずついており、近代的な家でも、シャッター状のものがついています。フランス人は、完全に冷えきった明け方の風を部屋の中に入れ、太陽が昇り始める日中には、完全にこの雨戸を閉め切ってしまいます。少しでもヴォレを開ければ、強い日射しで部屋の中の気温が急上昇してしまうので、日が沈み始める20時頃までは閉め切ったまま。
「そんなことしたら家の中が暗くなる」という日本人の感覚とは相反するものの、暑さをしのぐにはこれしかありません。家の中は、余程必要がない限り、小さなランプをつけるだけで事足りてしまうのです。
「雨戸」は日本の古い民家にはありますが、今はないのがほとんど。その代わり、UVカット機能のついたフィルターを窓に貼っておくだけでも、暑さを大分防げるのだそう。また、厚手の生地のカーテンを各窓にとりつけ、完全に閉め切るだけでもモワッとした暑さを防げます。「部屋にいる時暗いのはいやだ」、という人は、外出時に閉め切るだけでも随分変わります。
窓にシーツを吊るして扇風機をまわす
扇風機を使うだけではまだまだ暑いという場合、フランスではおばあちゃんの時代から伝わるテクニックがあるのだそう。それは、湿らせたシーツを高いところからぶら下げて、扇風機をまわすというもの。こうすることで、少しでも涼しい風が部屋中に送られることに。また、扇風機の前に保冷剤や氷などを置くのも、室温を下げるひとつのテクニック。
体の最大の冷却スポットを冷やす
体の部位で、あるスポットを冷やすと全身のクールダウンにつながります。それは「首」。皮膚に近い場所に太い血管が通っているため、冷却された血液が全身を巡って、体全体を冷やしてくれるのだそう。ぬらしたタオルを巻いたり、保冷剤を入れて巻き付けたりすると効果的。
ほかにも、留守中に使っていない電化製品(電子レンジ、炊飯器、クーラー、扇風機、プリンターなど)のコンセントを切って、待機電力の消費をも節約することができます。結果、省エネとして、地球の温暖化防止に貢献する小さなアクションにもなります。
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(下野真緒)