「いいなぁ、わたしも故郷が欲しい」
年末年始の里帰りを伝えると、田舎のない友人からよくこう言われます。
でも、本当の故郷もしがらみなんかがあって、大変な部分があるのも本音。それなら……故郷のある人も、ない人も、出かければいいんです、理想の故郷探しの旅。
訪れたのは、宮崎県の北部にある村・諸塚村。村の95%を占める山に、広葉樹と針葉樹がモザイク上に敷き詰められた美しい森林に囲まれた、理想の故郷候補のひとつです。
これから諸塚村がUIターン希望者の受け入れや都会の人々との交流を求め、積極的にツアーを展開していくと聞き、ひと足先に体験ツアーに参加しました。
宮崎空港から車で約2時間半。正直、遠いし、山道もあって、自分で運転するとなると大変そう。どんなに素敵なところでも、そうそう簡単には来れないな、なんて、弱気な旅のスタートでした。
到着したのは、標高約600m、スカイツリーのてっぺんほどの高さにある集落。目の前に開けた眺めは、見事な森に包まれた山並みに雲海が広がる、まさに九州のマチュピチュ! 移動距離でめげかけていた心が持ち直すのには、十分すぎる景色でした。
そしてここから、心をギュッと鷲掴みにされる、たくさんの体験が待っていたんです。
例えば、古民家で私たちを迎えてくれた日與川和志(ひよかわかずし)さん・順子さん夫妻との出逢い。
日與川和志(ひよかわかずし)さん・順子さん夫妻
古民家には暖炉や五右衛門風呂もあり、昔ながらの暮らしも体験しました。
林業やしいたけ栽培を手掛ける和志さんは、まさに寡黙な山の男。和志さんに仕事を教えてもらい帰ってくると、順子さんが食事の準備をしながら迎えてくれます。あわててお手伝いをするわたしたちは、さながら親戚の子供たちといったところ。
しいたけは諸塚の名産のひとつ。
日與川さんは、2011年に農林水産大臣賞を受賞をするなど、
この道40年のしいたけ栽培名人!
夕食にはこの季節ならではの猪鍋をいただきました。この地で採れた野菜もたっぷり!
また、例えば、予定になく訪れた民家ではこんな出来事が。
親類・近所の人たちが集まり、こたつを囲んで始まっていた酒盛りの輪におそるおそる混ざると、あっという間に囲まれて、質問攻めに。「嫁に来い」なんて言われて、ちょっといい気分。この適度なちやほや感、クセになってしまいそうです。
そして、都会にいると滅多にできない、間伐体験もできます。
山の男のたくましさを目の当たりにして、私たちはメロメロ……。薪になるくらいの細めの枝でさえ、ナタを何度振り下ろしても、斬れる気配はまったくなし。そんな私たちを尻目に、山の男・和志さんは、なんとナタをふた振りしただけで、バッサリ切り落としてしまうんです。
「…カッコいい」
参加していた女性陣が、山の男に惚れた瞬間でした。
それにしても、諸塚の人たちの笑顔って不思議。
どこから何をしに来たのかもわからない私たちに、120%の笑顔を向けてくれるんです。その笑顔があまりにも無防備すぎて、よそ者にこんなに心を開いて大丈夫なの、とこちらが心配になってしまうほど。
山に囲まれた諸塚村には、「諸塚だけでは生きられない。外から来る人を大切にすることが、地域を守ることにつながる」という、先人の教えが根づいているそう。
だからきっと、誰が行っても同じ笑顔で迎え入れてくれるはずです。
とにかく、人も景色もあったかい。
これってすごく大切なポイントだと思うんです。
初めてのはずなのに懐かしい、これぞ日本の田舎、が詰まった諸塚村。
帰り道、最初の弱気はどこへやら。「心が疲れたら、諸塚に来よう」と思っている自分がいました。
諸塚村の魅力に触れられる体験ツアーは、来年1月にスタート。故郷が欲しい人だけでなく、日本男児のたくましさにも触れられます。
山村体験モニターツアーin 宮崎県諸塚村
6日間の山里暮らし体験プログラム
2013年1月23日(水)〜28日(月)5泊6日
詳細はこちら>>
対象:18歳以上の健康な方
定員:8名 申込書に必要事項を記入して下記までお送り下さい。
募集締切:2013年1月7日(月)
※応募者多数の場合、申込書類に基づき選考を行います。
※選考結果は 9日(水)までにお知らせします。
参加費用:10,000円(体験料・食費・保険代含む)
主催:諸塚村
共催:一般社団法人more trees、一般社団法人諸塚村観光協会
本事業は「宮崎県口蹄疫復興対策運用型ファンド事業 みやざき観光再生事業補助金」の支援をうけて実施します。
text by 渡部えみ
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グリーンライター。書籍編集、転職・派遣サイト等のコンテンツ企画・制作、心とカラダにいいことを発信するモバイルサイトのプロデュースなどを経験。現在、オーガニックコットンブランドの広報とともに、選ぶのが楽しくなるグリーンでエシカルなモノ・コトを文字で広める「グリーンライター」として活動中。「どうせ選ぶなら、自然にも社会にも、もちろん自分にもいいものを」がモットー。最近念願の手織りを始め、織っている間の“無”の感覚に癒される毎日。
photo/編集部
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年末年始の里帰りを伝えると、田舎のない友人からよくこう言われます。
でも、本当の故郷もしがらみなんかがあって、大変な部分があるのも本音。それなら……故郷のある人も、ない人も、出かければいいんです、理想の故郷探しの旅。
訪れたのは、宮崎県の北部にある村・諸塚村。村の95%を占める山に、広葉樹と針葉樹がモザイク上に敷き詰められた美しい森林に囲まれた、理想の故郷候補のひとつです。
これから諸塚村がUIターン希望者の受け入れや都会の人々との交流を求め、積極的にツアーを展開していくと聞き、ひと足先に体験ツアーに参加しました。
宮崎空港から車で約2時間半。正直、遠いし、山道もあって、自分で運転するとなると大変そう。どんなに素敵なところでも、そうそう簡単には来れないな、なんて、弱気な旅のスタートでした。
到着したのは、標高約600m、スカイツリーのてっぺんほどの高さにある集落。目の前に開けた眺めは、見事な森に包まれた山並みに雲海が広がる、まさに九州のマチュピチュ! 移動距離でめげかけていた心が持ち直すのには、十分すぎる景色でした。
そしてここから、心をギュッと鷲掴みにされる、たくさんの体験が待っていたんです。
例えば、古民家で私たちを迎えてくれた日與川和志(ひよかわかずし)さん・順子さん夫妻との出逢い。
日與川和志(ひよかわかずし)さん・順子さん夫妻
古民家には暖炉や五右衛門風呂もあり、昔ながらの暮らしも体験しました。
林業やしいたけ栽培を手掛ける和志さんは、まさに寡黙な山の男。和志さんに仕事を教えてもらい帰ってくると、順子さんが食事の準備をしながら迎えてくれます。あわててお手伝いをするわたしたちは、さながら親戚の子供たちといったところ。
しいたけは諸塚の名産のひとつ。
日與川さんは、2011年に農林水産大臣賞を受賞をするなど、
この道40年のしいたけ栽培名人!
夕食にはこの季節ならではの猪鍋をいただきました。この地で採れた野菜もたっぷり!
また、例えば、予定になく訪れた民家ではこんな出来事が。
親類・近所の人たちが集まり、こたつを囲んで始まっていた酒盛りの輪におそるおそる混ざると、あっという間に囲まれて、質問攻めに。「嫁に来い」なんて言われて、ちょっといい気分。この適度なちやほや感、クセになってしまいそうです。
そして、都会にいると滅多にできない、間伐体験もできます。
山の男のたくましさを目の当たりにして、私たちはメロメロ……。薪になるくらいの細めの枝でさえ、ナタを何度振り下ろしても、斬れる気配はまったくなし。そんな私たちを尻目に、山の男・和志さんは、なんとナタをふた振りしただけで、バッサリ切り落としてしまうんです。
「…カッコいい」
参加していた女性陣が、山の男に惚れた瞬間でした。
それにしても、諸塚の人たちの笑顔って不思議。
どこから何をしに来たのかもわからない私たちに、120%の笑顔を向けてくれるんです。その笑顔があまりにも無防備すぎて、よそ者にこんなに心を開いて大丈夫なの、とこちらが心配になってしまうほど。
山に囲まれた諸塚村には、「諸塚だけでは生きられない。外から来る人を大切にすることが、地域を守ることにつながる」という、先人の教えが根づいているそう。
だからきっと、誰が行っても同じ笑顔で迎え入れてくれるはずです。
とにかく、人も景色もあったかい。
これってすごく大切なポイントだと思うんです。
初めてのはずなのに懐かしい、これぞ日本の田舎、が詰まった諸塚村。
帰り道、最初の弱気はどこへやら。「心が疲れたら、諸塚に来よう」と思っている自分がいました。
諸塚村の魅力に触れられる体験ツアーは、来年1月にスタート。故郷が欲しい人だけでなく、日本男児のたくましさにも触れられます。
山村体験モニターツアーin 宮崎県諸塚村
6日間の山里暮らし体験プログラム
2013年1月23日(水)〜28日(月)5泊6日
詳細はこちら>>
対象:18歳以上の健康な方
定員:8名 申込書に必要事項を記入して下記までお送り下さい。
募集締切:2013年1月7日(月)
※応募者多数の場合、申込書類に基づき選考を行います。
※選考結果は 9日(水)までにお知らせします。
参加費用:10,000円(体験料・食費・保険代含む)
主催:諸塚村
共催:一般社団法人more trees、一般社団法人諸塚村観光協会
本事業は「宮崎県口蹄疫復興対策運用型ファンド事業 みやざき観光再生事業補助金」の支援をうけて実施します。
text by 渡部えみ
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グリーンライター。書籍編集、転職・派遣サイト等のコンテンツ企画・制作、心とカラダにいいことを発信するモバイルサイトのプロデュースなどを経験。現在、オーガニックコットンブランドの広報とともに、選ぶのが楽しくなるグリーンでエシカルなモノ・コトを文字で広める「グリーンライター」として活動中。「どうせ選ぶなら、自然にも社会にも、もちろん自分にもいいものを」がモットー。最近念願の手織りを始め、織っている間の“無”の感覚に癒される毎日。
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