日本美術を楽しみたいけれど、どこに観に行けばよいかわからない......そんな方にオススメの博物館・美術館をご紹介します!
四大国立博物館で、日本美術の流れをつかむ
四大国立博物館とは、東京・京都・奈良・九州の国立博物館のこと。その膨大な所蔵作品にふれることで、日本美術・日本文化の流れを通観できます。
・東京国立博物館(上野)
上野にある「東京国立博物館」の収蔵品は国宝87件、重要文化財631件を含む11万件。質・量ともに圧倒的なコレクションを誇る、「日本の美の殿堂」ともいうべく博物館。縄文時代の土偶から、江戸時代の浮世絵まで、「日本美術の流れ」をたどることができます!
・京都国立博物館(京都)
「京都国立博物館」は、重要文化財の重厚なバロック様式をとりいれた煉瓦造りの建物がシンボル。平安以降の京文化に関わる多彩な文化財を擁し、寺社などからの寄託が6千件余りと、全体の半分を占めています。
・奈良国立博物館(奈良)
「奈良国立博物館」は、仏像の収蔵が多く、寺院との関係が深いのが特徴。法隆寺の百済観音像・興福寺の阿修羅像など、日本史の教科書でもおなじみの古寺に伝わる名像が数多く寄託展示されています。(重要文化財131件のうち、寄託品が114件も!)
・九州国立博物館(福岡)
「九州国立博物館」は、福岡県太宰府市にある歴史系の博物館。「日本文化の形成をアジア史的観点からとらえる」をコンセプトに2005年に開館した比較的新しい博物館。旧石器時代から開国までの日本の文化の形成についての展示の他、実際に触れることができる体験型の展示や文化イベントを展開するなど、100年以上の歴史を誇る東京・京都・奈良の国立博物館とは異色の存在です。
山種美術館で、日本画と和菓子を味わう
「山種美術館」は、近代日本画では国内随一のコレクションを誇る日本画の専門美術館。明治から現在までの近代・現代日本画を中心に古画、浮世絵、油彩画など約1,800点が所蔵されています。
美術館併設のミュージアムカフェ「Cafe 椿」では、青山の老舗菓匠「菊家」のオリジナル上生菓子を味わうことができます。人気が高いメニューは、展覧会の出品作品をモチーフに創作されるオリジナル創作和菓子。
写真は、現在開催中の特別展「百花繚乱―花言葉・花図鑑―」(6月2日まで開催)にちなんだ特製和菓子。作品の微妙な色合い・質感が再現されており、そのクオリティの高さ・繊細な味わいに驚かされます。この他、男性限定のメニューとして、宇治の玉露をぬる湯でいただき、茶葉をポン酢で味わうメニューも新登場。
落ち着いた雰囲気の店内は、美術鑑賞後の余韻にひたりながらほっとひと息つくのにふさわしい空間。日本画と和菓子。日本文化を五感で味わうことができます。
サントリー美術館で、日本の美を体感する
ショッピングや食事とともに楽しむなら、東京ミッドタウン内の「サントリー美術館」で開催中の『「もののあはれ」と日本の美』展(6月16日まで開催)をオススメします。
自然の美しさを描いた絵巻や屏風、漆工や陶磁器などから平安時代以来の日本美術の流れを辿り、日本の美の根底に息づく「もののあはれ」をめぐる美的理念や、自然と共生し、その移ろいに心動かされた人々の思いを明らかにする企画展です。
「もののあはれ」は、自然の移ろいや人生の機微に触れた時に感じる情趣を意味し、『源氏物語』や平安時代の和歌などに代表される日本独特の美的理念、情緒感をあらわす言葉。日本文化を貫く美意識と言えます! 日本美術を通じて、自然と共生してきた日本人の姿、季節感に敏感な日本人の心、花見、祭り、花火、月見、紅葉狩り、雪見など、季節ごとの行楽を日本人がどのように楽しんでいたか?も垣間見ることができます。
「日本美術」「日本画」に対して感じている敷居の高さ、先入観にとらわれることなく、自由に楽しんでみてはいかがでしょう?
photo by Thinkstock/Getty Images
(神森真理子)