NYに住む郵便局員と図書館勤めの夫婦がつつましい給料からアート作品を買い集め、それはやがて世界屈指の現代アートのコレクションに。高齢となった二人は、そのすべてをアメリカの国立美術館に寄贈する旅にでる......そんな実話を描いたドキュメンタリー映画「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」。
その続編「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」が現在公開中です。じつは、この続編の公開に至るまで、もうひとつのドキュメンタリーがありました。
「ハーブ&ドロシー」シリーズの監督は、1987年からNYに住みテレビ番組制作を手がけてきた日本人女性・佐々木芽生さん。趣味を楽しみ、寄贈することを選んだ夫婦のライフスタイルが話題を呼び、前作は世界中で大ヒットとなりました。
その人気に応えるべく続編の制作を決めた佐々木監督でしたが、製作資金不足という問題にぶつかります。そこで製作費や宣伝費、配給費、ドロシー来日の資金集めのために「クラウド・ファンディング」で1000万円の寄付を募ることにしました。
クラウド・ファンディングは、インターネットを使って小額を多数の支援者から募り、アート、音楽、映画などのプロジェクトを実現する、という資金調達とサポーター集めの方法。誰でも気軽に支援に参加ができるため、ここ数年欧米で広まってきました。
欧米では、1億を超える事例もあるものの、日本での知名度は低く1000万円は未知の領域。はじめは無謀かと思われたプロジェクトでしたが、見事期限内に目標を達成。その後も「期限を過ぎてしまったけれど応援したい」という希望者のために期限を延長し、最終的にはアメリカと日本の915人から日本最高額の1400万円もが集まりました。
映画の製作・公開に至るまでもがまるで作品のよう! 誰かの夢を応援する寄付・支援の思いは世界共通なんですね。ハーブとドロシーのストーリーに加え、そんな映画の背景にも思いを巡らせるともっと楽しめそうです。
[ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物,motion gallery]
監督:佐々木芽生
3月30日(土)より、新宿ピカデリー、東京都写真美術館ほか全国順次ロードショー
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(松浦松子)