「あれ、C.C.レモンのCの字が消されてる!?」

いまコンビニや自動販売機で、おなじみの「C.C.レモン」のラベルに異変が起きています。一体なぜ……?

「C」を消す=「Cancer」を消す

実は消された「C」の文字は、「Cancer(がん)をなくす」という意思表示。“みんなの力で、がんを治せる病気にする”プロジェクト「deleteC(デリートC)」の活動の一環として、サントリー食品インターナショナル(株)がラベルのCを消した「C.C.レモン」や「デカビタC」を期間限定で発売しているのです。

参加企業が「C」を消してがんの治療研究を応援

このプロジェクトを発案したのは、2019年9月から活動しているNPO法人deleteC」。仕組みはシンプルで、世の中のあらゆるものからCancerの頭文字であるCを消すというもの。参加企業がCを消した商品、あるいはオリジナルの商品を作って販売し、それを暮らしのなかでユーザーが購入。売り上げの一部が「deleteC」に集まり、がんの治療研究のために寄付されます

また、2021年9月に行われたプロジェクト「#deleteC大作戦」では、SNSの投稿などを通じて約688万円の寄付が集まったとのこと。2022年1月30日に開催されたオンラインイベント「deleteC 2022 -HOPE-」では、寄付金が届けられる2人のがん研究者が発表されました。

バリューは「あかるく、かるく、やわらかく」

「#deleteC大作戦」は、SNS投稿や拡散を核にした楽しい企画。参加企業の商品から「C」を消した画像をハッシュタグ「#deleteC大作戦」をつけて投稿すると、1投稿あたり100円、いいねやシェアなどの1リアクションあたり10円の金額が参加企業から寄付されることになっていました。

9月4日からの3週間で、投稿数は2万件、リアクション数は79万回を超え、のべ5000万人に「deleteC」の情報が届いたとのこと。「deleteC」のアイデアを考案した代表理事の小国士朗さんは元NHKのディレクター。ドキュメンタリー番組を作りながら、認知症の状態にある方がホールスタッフをつとめるレストラン「注文をまちがえる料理店」などを手がけてきました。

「deleteC」のバリュー(大切にする価値観)は「あかるく、かるく、やわらかく」で、これは「deleteC」の創業理事・中島ナオさんの言葉だそう。大きな問題だからこそ、誰もが気軽に参加できる仕組みを打ち出す。そんなアイデアと行動力は「deleteC」の大きな魅力です。

deleteCにとって初めて研究者に寄付を渡したイベント「deleteC 2020 -HOPE-」より

川上尚人さんと石丸紗恵さんのがん研究を応援

生配信で行われた今回のdeleteC 2022 -HOPE-では、過去最高額の寄付金300万円ずつが届けられることになった、2人のがん研究者の表彰式。YouTubeLIVEのコメント欄には、お祝いコメントや質問がリアルタイムでたくさん寄せられていました。

一人目は近畿大学 医学部 腫瘍内科部門の川上尚人(かわかみ ひさと)さん。MSI-Hという特徴を持つ胃がん患者には、「免疫チェックポイント阻害剤」を用いた治療が効果的な可能性を示す研究データがあります。しかし、日本では最初の治療を始める前にMSIを測ることが保険で認められていないため、なかなかこの治療に辿り着けないのだとか。そこで川上さんがどんな大胆な行動に出たのかは、こちらの啓発ムービーでご覧ください。

二人目は国立がん研究センター中央病院 小児腫瘍科/臨床研究支援部門の石丸紗恵(いしまる さえ)さん。日本では欧米よりも子どもに使えるがん薬の数が少ない傾向にあり、ドラッグラグとして問題視されています。石丸さんはこれを解消するために、単身オランダに渡ったそうです。啓発ムービーでは、その歩みがわかりやすく描写されています。

難しい研究内容を分かりやすく伝えるために、「deleteC」が企画し、制作。ムービーはNHKの人気番組「サラメシ」などを手がける放送作家たむら ようこさん、田中ナオトさんが制作に関わり、アニメ「ちびまる子ちゃん」などで知られるきむら きょうやさんがナレーションを担当しているそう。さすがのクオリティに感心しきりでした。

がん治療やがん研究者を推しまくる「推し研!」をスタート

イベントの後半では、「アイドルを推すように、がん治療やがん研究者を推したっていいじゃない」という発想から生まれた新しいアクション、「推し研!(おしけん)」のコンセプトが発表されました。堂々たるロゴを揮毫したのは、メジャーリーガーの菊池雄星さん。「deleteC」の「推し推し団」こと応援団には、deleteC公式アンバサダーのAIさんなど多くの著名人が参加しています。

冒頭でご紹介した「deleteC」ラベルの「C.C.レモン」と「デカビタC」も「推しアクション」のひとつで、全国のコンビニ・スーパー・ドラッグストアで発売中。同時に寄付付きのピンクの「deleteC 自動販売機」が国内で3台設置され、全国に拡大する話も出ているといいます。「見つけたら『ここにあったよ』『このお店で買えるよ』といった情報共有で、知らない人に教えてあげてください」と小国さん。

「deleteC 自動販売機」、「C」を消した「C.C.レモン」と「デカビタC」

そして「deleteC」が推すがん研究者として、2019年度、2020年度の寄付先である医師研究者の、奥野友介さんと大槻雄士さんがオンラインで登場しました。

「がんを治せる病気にする日」まで応援し続ける

この日の最後、それまでMCのあまりさんと会場を盛り上げていた小国さんが、しみじみと語っていた言葉が印象的でした。

必ずどこかに出口がある。それは希望の種で、いつか希望の花が咲く。それまで僕らは応援し続けるんだと、一緒にdeleteCを立ち上げた中島ナオと話したことがあります。創業理事である中島と長井はがんで昨年亡くなり、僕だけでは伝えきれないものもあると不安でしたが、この言葉に立ち返ると力が湧いてきます。

deleteCの仕組みを思いついたとき、シンプルに『自分にできることが見つかった』と腹の底から思ったんです。自分にできることを思いを込めてやってもらえたら、きっとみんなで一緒にゴールを切れるんじゃないかと思います」

「deleteC 2021 -HOPE-」より

自分たちだけが「deleteC」なのではなく、このプロジェクトに参加してくれるすべての人が「deleteC」だと話す小国さん。日本では毎年新たに100万人以上ががんと診断され、生涯で2人に1人ががんになるといわれています。何かしたい、でも何ができるかわからない……そんなときは街で「消されたC」を探してみては。私たち1人ひとりにできること、まだまだたくさんありそうです。

deletC, サントリー食品インターナショナル

RSS情報:https://www.mylohas.net/2022/03/delete_c.html