おいしい&あたたまるだけじゃないメリットも
Q:寒いからということもありますが、健康のためにも意識してあたたかいものをとるようにしています。体をあたためるだけでなく、栄養面でおすすめのスープがあったら知りたいです。
A:多彩な栄養素を含む「ボーンブロススープ」に注目して
「ボーンブロススープ」はどうでしょう。 肉や魚を骨ごとじっくり煮込んだスープのことで、ニューヨークのヘルシー志向の女性や女優を中心に人気となったものです。日本でも鶏がらや手羽を使ったスープなどが、 健康への意識が高い人を中心に注目されています。
その理由は、アミノ酸、コラーゲン、ビタミン、ミネラルなど多彩な栄養素が含まれていること。また、血糖値の維持が苦手なタイプにとっては、「吸収しやすい状態である」ことも大きな魅力です。
まじめな頑張り屋さんは気をつけて。地味につらい機能性低血糖
だるい、イライラする、食後に強い眠気が襲う、突然、動悸が起こったり手が震えたりする、冷や汗をかく……。こうした不調を感じる人は少なくないようです。
機能性低血糖という言葉があります。これは、体の中で血糖値がうまくコントロールできずに血糖値が低くなり、不調があらわれる状態を指します。
そもそも血糖値とは、その名の通り血液のなかに含まれる糖のこと。全身を流れる血液には、つねにエネルギー源である糖が含まれており、多すぎたり少なすぎたりしないよう、厳密にコントロールされています。甘いものやごはん、パンなど糖質をたっぷりとってしまうと、その量は一気に上昇。一定量を超えるとすい臓から血糖値を下げるためのホルモンが出てきて、過剰な糖を処理していきます。
しかしホルモンの作用で血糖値が下がりすぎてしまうことがあります。すると今度は血糖値を上げるためのホルモンが出されます。この繰り返しで血糖値は一定になっていきます。
ここで注目したいのがホルモン。血糖値が急激に下がると、強い眠気が起こったり、考えがまとまらなくなったり、指がガクガク震えたり、冷や汗や動悸が起こったり、といったことが起きやすくなります。それもそのはず、糖は細胞のエネルギー源でもあるため、少なくなるということは、体にとっては緊急事態でもあるのです。
こんなとき、体はなんとかしようとホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン、コルチゾール)を出して血糖値を上げようとします。前者ふたつは興奮に関わるホルモン。イライラや攻撃性、あるいは不安感や恐怖感が起こりやすくなるため、実はパニック障害といったメンタルの不調も、血糖コントロールと深く関わっていることがわかっています。
そしてコルチゾールは、ストレスと戦うホルモンでもあります。そのためストレスが多すぎると、ホルモンの出処である副腎が疲れてしまい、低血糖を起こしやすくなることに……。このことは、以前こちらの記事でも紹介しました。
さらに、糖は肝臓や筋肉にストックされるため、筋肉の少ない人は、いわばストック場所が少ないということ。毎日頑張って忙しく働き、最新のファッションに身を包み、肌のお手入れにも余念がなく、ボディラインもキープしている……。そんな人はとくに気になります。
わたしたちの冬の元気をつくる、ボーンブロススープ
そこでおすすめしたいのが、冒頭で紹介した「ボーンブロススープ」です。
肉や魚に含まれるタンパク質は多数のアミノ酸がくっついてできていますが、構造が複雑なぶん、消化するためには胃腸に負担がかかり、時間もかかります。しかしボーンブロススープは煮込むことで、タンパク質が壊れた状態、つまりアミノ酸の状態になっています。そのため消化吸収しやすいのです。
アミノ酸は体内でエネルギー源としても使われます。血糖値が下がった時に糖質をとると再び乱高下を起こしてしまうため、アミノ酸のように血糖値を乱さないものがベストとされます。
そういう意味で、吸収しやすく血糖値を乱さないボーンブロススープは適しているのです。
手軽なのは鶏がらスープでしょう。 食事のときのスープとして使うのはもちろん、ちびちびと水分補給に飲むのもおすすめ。血糖値が落ち着くことで体調が変わってきたという方も少なくありません。またコラーゲンなども多いので美肌にも貢献。腸の粘膜を丈夫にするはたらきも期待できます。
弱火でコトコト煮出すだけだから簡単です。面倒な方は冷凍のものも販売されているのでぜひ常備を。
秋川牧園 とてもまじめなとりがらスープ 50g×5本 4袋 3,824 Amazonで見る 3,824 楽天で見る熱いスープは寒い朝や、1日の疲れを癒やす夕食にもぴったり。毎日コツコツ取り入れることで元気がよみがえってきます。ぜひお試しくださいね。
吉川圭美(よしかわ・たまみ)
女性の美と健康(ダイエット、食を通じた不調ケア・アンチエイジング・美肌など)に関する編集者・ライターとして活躍。取材で出会った「オーソモレキュラー栄養医学」に魅了されて資格を取得し、現在は管理栄養士、栄養カウンセラーとしてアドバイスをおこなっている。インスタグラム
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