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「糖質」と上手につきあおう。肌の老化にもつながる未来のAGEを増やさないコツ

2021/12/28 20:00 投稿

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こころとカラダの調子にまつわる素朴な疑問に、専門家が答える連載「こころとカラダQ&A」。今回は見直したい「糖質との付き合い方」について、管理栄養士、分子整合栄養医学 栄養カウンセラーの吉川圭美さんに教えてもらいました。

糖質に気をつけたほうがいいのは、ダイエットしたい人だけ?

Q:ここ数年、よく話題に上がる「糖質」。ブームのような流れに押されて糖質制限をしたこともあるのですが、まったく食べないわけにはいかないし、甘いものも好き。糖質との付き合い方についてアドバイスをお願いします。

A:糖質のとりすぎによる「糖化」を知っていますか?

「糖質との付き合い方を見直しましょう」と聞くと、尻込みをする方もいらっしゃるかもしれません。糖質の多い食べ物はカロリーが高い傾向にあるということもありますが、とくに年を重ねることで可能性の高まる糖質のとりすぎによる「糖化」のデメリットも考えておきたいところです。今回はそんな「糖化」について紹介します。

実は甘くない、糖化の影響

私がお伝えしたいのは、糖質をとってはいけない、ということではありません。「ご自身の体にあった食べ方を探ってみませんか?」というご提案です。このようなお話をすると、「糖質はよくない」というイメージを持つかもしれませんが、私はそうは思っていません。

糖質はDNAの材料でもあるほか、全身をめぐる赤血球も糖質しかエネルギーとして使うことができません。そのため、不足すると体内で作られます。つまり糖は、体にとってそれほど大切な栄養素でもあるのです。

一方で、糖は多すぎるとデメリットを引き起こしやすいのも本当のところです。これまで多くの方の食事についてカウンセリングしてきましたが、「糖の量に体に合っていないなあ、多いなあ」と感じることがよくあります。

だからこそ、糖質の量や食べ方を見直すことは、体調やエイジング、美しさをコントロールするのに大切なファクターであると考えています。

「糖化」とはなにか。それは細胞をはじめとするタンパク質と、体内で余った糖がくっついてしまい、タンパク質が劣化することを指します。

例としてよくあげられるのがパンケーキです。糖を含む小麦粉と砂糖、タンパク質を含む卵や牛乳を混ぜ、熱したフライパンに流し入れて時間をおくと、きれいな焦げ目がつきます。これが糖化反応です。同じようなことが体内で起こっているところから、糖化は体の「コゲ」とも表現されます

コゲた状態のタンパク質はAGE(終末糖化産物)と呼ばれ、体に少しずつたまっていきます。細胞やコレステロール、酵素など体内のあらゆるタンパク質が糖化にさらされています。体にあるAGEの3分の2が体内でつくられ、残りは食事などから入ってきます。

生活習慣病や不妊に関連。肌の老化の原因にも

ホットケーキの焦げ目は一度ついたら取り去ることはできません。これは細胞も同じこと。 長い期間をかけて糖化にさらされると、細胞はもとに戻ることができなくなります。しかも体外に出されるのに時間がかかります。たとえば糖化したコラーゲンは、なんと75年も!

AGEがたまると何が起こるのか。生活習慣病や、年齢を重ねると起こりやすくなる病気のリスクが上がる傾向にあります。たとえば糖尿病や骨粗しょう症、認知症など……。さらには不妊とも関連があると考えられています。卵子はAGEの影響をとても受けやすいのです。

卵子は女性が胎児のころに作られます。ということは、子を宿した母親がそれまでどんなものを食べていたか、どれだけAGEを蓄積しているかも影響する可能性もあるということになります。母親と子どものAGEは強く相関する、という研究もあります。

加えて女性なら聞き捨てならないのが、肌の老化スピードを上げてしまうこと。皮膚のコラーゲンが糖化すると、コラーゲンが持つバネのような構造が破壊され、もちっとした弾力やハリが低下。たるみやシワなどの原因となってしまうのです。 肌悩みのひとつである「黄ぐすみ」も、実は糖化が影響していることはよく知られていることです。

未来の自分のために、いまできること

いつまでも変わらないと思っていたのに、いままでなかった小ジワやシミを見つけて愕然とする……。はじめて感じる老いの洗礼に、驚いた経験を持つ人も多いでしょう。そんな方にとって、体の中から、外から老いのスピードを上げてしまう糖化は、野放しにはできないはず。

ではどうしたらよいのでしょう。未来のAGEの量を増やさないことに尽きます。糖質の食べ過ぎがあるかを見直すこと、そして体の状態に合わせて食べ方や量を調整すること、つまり糖との付き合い方を見直すことです。

チョコレートや大福といった甘いものは、急激に血糖値を上げやすく、食べすぎると糖化を促します。食後に半分だけ食べる、仕事中のチョコレートは3粒までにするといった調整からはじめてみるのはどうでしょう。

ランチ後、午後に仕事をしているときに強い眠気が襲うという方も食後に高血糖が起こっている可能性が。 主食については、量を多くとりがちなうえ、お米に比べ てパンやうどんなどの粉ものも血糖値を上げやすいので、ごはんを選ぶ、 一品料理ではなく定食スタイルにする、といったことで工夫ができます。

また、糖質からではなくベジファーストにしたり、肉や魚を最初に食べたりする工夫も有効です。ちなみに早食いも血糖値を一気に上昇させてしまうので、ゆっくりと。みんなで食事をするときは、遅い人のペースに合わせて食べるのもよいでしょう。

ちなみに果物や甘い清涼飲料水に含まれる果糖は、ブドウ糖の約7倍ものスピードで糖化を促してしまうので注意。このほか、お酒や睡眠不足もAGEを促す傾向にあります。また、揚げるなど高温調理されたものもAGEが多いので、とらないように意識すると体内に入るAGEを減らすことにつながります。

いろいろ書きましたが、まずはできることから少しずつ。 この先もずっと、肌も体調も心地よくいたい。そんな方は、改めて見直してみる価値はあると思います。新年という節目から、ぜひトライしてみませんか?

吉川圭美(よしかわ・たまみ)
女性の美と健康(ダイエット、食を通じた不調ケア・アンチエイジング・美肌など)に関する編集者・ライターとして活躍。取材で出会った「オーソモレキュラー栄養医学」に魅了されて資格を取得し、現在は管理栄養士、栄養カウンセラーとしてアドバイスをおこなっている。インスタグラム

image via Shutterstock

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