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有元葉子さんの「カルボナーラ」の作り方。生クリームいらずで失敗しらず

2021/11/10 18:30 投稿

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素材の持ち味を生かし、余分なものを入れない引き算の料理を発信し続ける、著者の有元葉子さん(『パスタの本』3ページより)

自宅でおいしいカルボナーラが“釜玉うどん並み”に簡単に作れたら、ちょっとうれしいと思いませんか? 有元葉子さんのレシピなら、材料はチーズ、卵、ベーコンだけ。シンプルを極めた「日常食」としてのパスタ料理のコツを、『パスタの本』(東京書籍)からご紹介します。

野菜のパスタと魚介のパスタは、塩づかいにコツがある

1996年にイタリア・ウンブリア州にある元修道院の建物を購入して暮らしはじめ、日本とイタリアを行き来しながら、イタリアの食文化に親しんできた有元さん。パスタには“どこの国の食材でもおいしくできる”懐の深さがあり、日常食としてしょっちゅう作っていると語っています。

本書のパスタ料理はシンプルな手順と食材で作れるものが多く、とくに食材は余分なものを入れない潔さが特徴。そんなパスタをおいしく仕上げるためには、有元さんならではのこだわりがあるようです。

「アスパラクリームのパスタ」。野菜の甘さを引き立てるため、塩気はバターとゆで汁、仕上げのチーズで(『パスタの本』91ページより)

野菜のソースは太めのパスタ、ソースにはほとんど塩気を使わず野菜の甘味を大切にし、パスタのゆで汁に塩を多めに使います。一方魚介のパスタは細め、魚介ソースには適度な塩気が必要なのでパスタのゆで汁の塩は少なめ、パスタはかためにゆでて魚介ソースの中でおいしい汁を吸わせながら煮てちょうど良いかたさに仕上げます。バランスとタイミングの勘所は作り慣れていくうちに習得できるようになるでしょう。

(『パスタの本』2ページより引用)

私も本書の「アスパラクリームのパスタ」を作ってみて、ソースに塩味を効かせない野菜パスタのおいしさに驚きました。使う野菜はアスパラと玉ねぎだけで、塩気は炒めるときのバターと、パスタのゆで汁、仕上げのパルミジャーノチーズくらい。それなのに、仕上がりはアスパラガスの青々とした香りとやさしい甘みが際立って、大満足のひと皿でした。

有元家では、コースでイタリア料理をふるまうときはメイン料理を先に出して、パスタは締めのごはんのように出し、無理のない量を食べてもらうのだそう。オレンジとミントのパスタ、クルミとリコッタチーズのパスタ、牡蠣のパスタなど、食材そのものの魅力に焦点を当てたパスタはビジュアルも鮮やかで、食卓での会話が弾む様子が目に浮かぶようでした。

生クリーム不要。絶品カルボナーラが簡単に作れる

卵黄を入れてからのスピード感がポイント。チーズ、卵、ベーコンだけで作る「カルボナーラ」(『パスタの本』81ページより)

素材の味を生かしたシンプルな調理法は、定番の「カルボナーラ」もとびきりおいしく、簡単にしてくれます。カルボナーラというと生クリームやバターをたくさん使った高カロリーパスタというイメージがありましたが、イタリアではカルボナーラには生クリームを入れず、チーズ、卵、ベーコンだけで作ると有元さん。上手に作るポイントは、卵黄を入れてからのスピード感です。

カルボナーラ

<材料>(2人分)
スパゲッティ…160~180g
湯…2リットル
粗塩…大さじ11/2
ベーコン(かたまり)…80~90g
卵黄…4個分
パルミジャーノ・レッジャーノ…60g
黒粒こしょう…適量
オリーブオイル…大さじ2~3

<作り方>
1.ベーコンは5mm角の棒状に切る。卵黄は溶きほぐす。パルミジャーノはすりおろす。こしょうはたっぷりとひいておく。
2.深鍋に湯を沸かして塩を加え、パスタを入れてすぐにかき混ぜ、ゆではじめる。袋の表示時間より2分ほど短くタイマーをセットする。
3.フライパンまたは浅鍋にオリーブオイルを入れて火にかけ、ベーコンを加え、ベーコンから脂が出てカリッとするまで炒める。1のこしょう適量を加える。※この段階でパスタがゆで上がっていない場合はいったん火を止め、パスタを加える寸前に再び火にかける。
4.パスタがゆで上がったらトングでつかみ上げて3に加え、パルミジャーノも入れてよくからめ、こしょう適量を加えて混ぜる。
5.火を止め、卵黄を加えて手早くあえ、ほどよく火を通す。
6.器に盛り、さらにこしょう適量をかけ、好みでパルミジャーノ適量(分量外)をおろしかける。

(『パスタの本』80ページより引用)

今まで作ってきたカルボナーラのなかでも、有元さんのレシピの作りやすさは抜群。それでいて、仕上がりはとても濃厚でクリーミー、カリカリのベーコンの旨みと黒こしょうの刺激がガツンと効いています。このレシピなら失敗もしづらいし、日本の釜玉うどんのような感覚で、おなかがすいたときにサクッと作れそうです。

野菜が1種類あれば十分においしいパスタが作れることを教えてくれる、有元さんの「引き算の美学」がつまった一冊。旬の野菜が手に入ったら、まずはパスタで一品、おいしい「日常食」を作ってみませんか?

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写真/『パスタの本』有元葉子・著(東京書籍)より、撮影/竹内章雄

パスタの本

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