今回は、鶏むね肉が持つ意外な成分のことやパサつきを防ぐ調理のコツ、そして鶏むね肉をメインに使った1週間の献立アイデアを、管理栄養士の河村桃子さんがアドバイス。これで鶏むね肉料理のバリエーションがグッと広がりそうです。
ナイアシンとイミダペプチドのうれしいパワー
ビタミンB群の一種である「ナイアシン」を、鶏もも肉の2倍も多く含むという鶏むね肉。ナイアシンは糖質や脂質・たんぱく質をエネルギーに変えるのを助けたり、アルコールを飲んだ際に生成されるアセトアルデヒドを分解するときの補酵素になったりと、何かと大人にうれしい栄養素です。
抗疲労効果があるイミダペプチド(正式名称:イミダゾールジペプチド)が豊富なことも見逃せないポイント。河村さんによると、イミダペプチドはささ身にも含まれていますが、むね肉のほうが含有量が多いため、疲れやすい人にはむね肉がおすすめです。
管理栄養士直伝!パサつきを防ぐ3つのポイント
メリットがいっぱいの鶏むね肉ですが、加熱するとパサつきやすいのが難点のひとつ。脂肪が少なく水分が多いため、熱すると水分が流出してパサパサとした食感になってしまうのです。
パサつきを防ぐポイントは次の3つ。これらを守ることで、むね肉の水分を逃さずに調理することができます。
1.ブライン液につける
ブライン液とは水100g・塩5g・砂糖5gを混ぜた液のことです。塩と砂糖の入ったブライン液に漬けることで、加熱しても水分が流出するのを防いでくれます。ブライン液に30分〜4時間漬けてから調理することで、加熱後のパサつきを抑えてくれます。
(「Diet Plus」より引用)
河村さんによると、塩を入れすぎると逆に肉が硬くなってしまうそう。水100gにつき塩5g(小さじ1杯)の適量を守ってくださいね。
2.片栗粉や小麦粉など、粉をまぶす
片栗粉や小麦粉をまぶすことで、鶏むね肉をコーティングし水分の流出を防ぐテクニック。旨み成分の流出も防いでくれて一石二鳥です。
3.ゆっくりと火を通す
高温で加熱するとたんぱく質が変性し、水分の流出が起こります。加熱する時は低温でゆっくり加熱しましょう。また、冷蔵庫から出してすぐに焼いてしまうと中まで火を通すのに時間がかかってしまうので、10分ほど常温に出してから焼くと良いでしょう。
(「Diet Plus」より引用)
鶏むね肉をしっとりと仕上げるためには、強火は禁物。夏場は肉が傷まないように、常温に戻す時間を調節してください。
疲労対策にも。意識して「鶏むね肉」を食べる1週間を
あっさりしがちな鶏むね肉の料理は、単品だと食事の満足度という面で少し心配な場合もあります。そこで今回は、河村さんが鶏むね肉をメインに使った1週間分の献立を考えてくれました。
鶏むね肉をメインに使った1週間の献立
月曜日:「皮なし鶏むね肉のしっとり照り焼き」献立
主食:玄米mixバターライス
主菜:皮なし鶏むね肉のしっとり照り焼き
副菜:春菊とひじきのみぞれ和え
汁物:しめじと小松菜のみそ汁
デザート:オレンジ
<ポイント> まずは小麦粉をまぶしてから焼くテクニックを実践。むね肉の皮を取るとさらにカロリー控えめに。
火曜日:「鶏むね肉のごま磯辺焼き」献立
主食:玄米ご飯
主菜:鶏むね肉のごま磯辺焼き
副菜:ホクホクかぼちゃのベジマヨサラダ
副菜:小松菜と桜エビの和え物
<ポイント> 鶏むね肉の淡泊な味わいが、ごまと青のりの風味で香り豊かに変身。かぼちゃのサラダは豆腐を使ったマヨネーズでヘルシーに仕上げます。
水曜日:「夏野菜のカレー」献立
主食:夏野菜のカレー
副菜:水菜とグリルきのことベーコンのサラダ
副菜:枝豆ととうもろこしのさっぱりピクルス
デザート:キウイ
<ポイント> こちらは片栗粉をまぶしてから焼く調理法で。カロリーが高めのカレールウを減らし、代わりに味噌でコクと旨みを高めています。
木曜日:「アボカドチキンのわさび海苔あえ」献立
主食:ごはん
主菜:アボカドチキンのわさび海苔あえ
副菜:酒粕風味♪里芋とひじきのサラダ
副菜:小松菜とえのきの辛し和え
デザート:りんご
<ポイント> 鶏むね肉は余熱で火を通すことで、しっとりとした食感に。アボカドのコクで食べ応えがアップします。
金曜日:「レンジでチンだけ♪ ヘルシー棒棒鶏」献立
主菜:レンジで簡単!ヘルシー棒棒鶏
副菜:パクチーときゅうりのデトックスサラダ
汁物:きのこのとろみスープ
デザート:いちじく
<ポイント> 鶏むね肉を加熱後に、すりこ木で叩くというテクニックに驚き。電子レンジで手軽に調理できるので、疲れがたまる金曜日にぴったりです。
土曜日:「チキンとキャベツ、きのこのパスタ」献立
主食:チキンとキャベツ、きのこのパスタ
汁物:キャベツとしらすの簡単カルシウムスープ
<ポイント> 休日ムードが高まるパスタ料理も、鶏むね肉で健康的に。きのことニンニクの旨みが味のアクセントになります。
日曜日:「もち麦の鶏しお雑炊」献立
主食:もち麦の鶏塩雑炊
副菜:蒸し鶏と豆苗のおろし和え
副菜:スプラウトとひじきのマヨサラダ
デザート:ジャスミン香る♪ ひんやりデザート
<ポイント> 週末の疲れた体を優しく労るのは、タンパク質がしっかり摂れる「鶏雑炊」。食物繊維たっぷりのもち麦を加えて、美肌や免疫機能アップが狙えるひと品に。
あっさりしつつも栄養がしっかり摂れる献立を組みやすいのが、「鶏むね肉」の頼もしいところ。パサつきを防ぐ3つの調理法を取り入れて、毎日の食卓にどんどん登場させましょう。
河村桃子(かわむら・ももこ)さん
管理栄養士として病院やクックチル(食材を調理加熱したあとに急速に低温冷却しチルドの状態で管理する調理法)のコンサルティング、栄養専門学校講師の業務に携わる。現在はフリーランスの管理栄養士として、「今日の食事で明日の自分は変わる」をモットーに、コラム執筆や特定保健指導、レシピ提案、食事講座など働く大人の食事サポートをおこなっている。
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めんどいので、炊飯器で加熱した鶏肉を、茹でるかチンした野菜とスーパー大麦で食べる。締めに米かうどんをたべる。