目や口のまわり、おでこ、ほうれい線……
Q:肌のシワ・小ジワが気になります。インナーケアにも力を入れたいのですが、食事はどうすればいいですか?
A:体内でコラーゲン生成を促す栄養を知っていますか?
シワといえば「コラーゲン」を思い出す方も多いでしょう。肌にぷるんとした弾力を与えてくれる、美しい肌に欠かせない物質です。
コラーゲンは体内で作られますが、残念ながら作られる量は年齢とともに減少傾向に。シワが気になるなら、体内でコラーゲン作りを促す栄養「タンパク質、ビタミンC、鉄」などをしっかり摂ることが対策のひとつといえます。
肌にハリ&弾力を生み出す「三種の神器」ならぬ栄養とは
コラーゲンはタンパク質の一種。私たちの体に存在するタンパク質の約3割を占めるといわれます。顔だけにあるものとイメージされがちですが、その範囲は全身の皮膚に及びます。肌の構造は表皮層、真皮層、皮下組織に大きく分けられますが、真皮の部分の7割がコラーゲンでつくられ、肌のハリを保っています。
このほかコラーゲンは骨や血管、軟骨、靭帯など、広く体に存在しています。細胞と細胞をつなぐ接着剤のようなはたらきもしています。
タンパク質は意外と摂りにくい栄養素
体内でコラーゲンを作るおもな材料は、タンパク質、ビタミンC、そして鉄。タンパク質が多い食材は肉や魚、卵、大豆。そして鉄はレバーや牛肉、カツオ、マグロ、アサリなど。ビタミンCは生野菜やフルーツに多く含まれます。
私たちに必要なタンパク質の量は、 厚生労働省が定めた「食事摂取基準2020」によると、18歳以降の女性の1日における必要量は50gとなっています(※1)。 日本人の平均的な体位を定めた「参照体位」(※2)が体重が50.3〜53.0kgであることを考えると、体重1kgあたり1gを目安にするとイメージしやすいでしょう。体重50kgの人は1日最低でも50gのタンパク質が毎日必要になるという換算。1日3食とすると1食あたり約17gのタンパク質摂取が目安となります。
※1 推奨量、※2 参照体重:18〜29歳女性/50.3kg、30〜49歳女性/53.0kg
一方で食材に含まれているタンパク質をみてみると、卵はひとつで約6g、納豆1パック6.6g、豚肉手のひら1枚分(100g)約21g、焼き魚1切れ約18g。約17gのタンパク質摂取となると卵なら3つ、焼き魚ならひと切れを毎食といった具合ですが、このように3食しっかりタンパク質がとれているという女性はけっこう少ないと感じています。
しかも、一日当たりの摂取カロリーが少ないと、体はエネルギー不足を察知し、体にある筋肉をエネルギーに変えて体機能を維持しようとします。これではタンパク質をがんばって食べていても、肌にまで届かず、エネルギーとして使われてしまうことに……。
加えて女性は、以前お伝えしたとおり、月経や出産があるため、鉄を失いやすく不足しがちです。
そこで提案したいのが、お肉。なかでも牛肉を普段の食生活にたっぷり取り入れること。カウンセリングの現場で「肉は食べている」という方も、牛肉を日ごろからとっているという方は多くない印象です。
牛肉はサシの入った肉よりも赤身肉を。こま肉が普段使いに便利です。焼いて塩コショウするだけでも立派な一品になります。ねぎと炒めてレモン汁をたらせばさっぱり風味に。カレーや肉豆腐、牛丼の具などいろいろ使えます。
また、牛ひき肉を甘辛く炒めてそぼろにし、常備菜にするのもおすすめです。ごはんにかけたり、卵焼きの具にしたり、親子丼のように卵でとじたり……。豚や鶏よりちょっとお値段は張りますが、高級コスメよりも手軽な美肌対策といえます。
そして、付け合わせにたっぷりの生野菜やブロッコリーを添え、ビタミンCを摂るのを忘れずに。
“暴れん坊”活性酸素がコラーゲン工場を攻撃
そしてシワが気になるなら、もうひとつ気をつけたいことがあります。それは紫外線で増えやすくなる活性酸素の存在です。まだまだ紫外線が強い秋も油断はできません。
こちらの記事でもご紹介しましたが、紫外線を浴びると細胞を傷つける物質、活性酸素が生まれやすくなります。彼らが行く先は、真皮でコラーゲンをつくっている線維芽細胞。ここがダメージを受けることで、シワにつながりやすくなる、というわけです。活性酸素も、年を重ねることに増えやすくなります。
ここで頼りにしたいのがビタミンC。加えて、カタラーゼという酵素も活性酸素をブロックしてくれます。カタラーゼを作るのに必要なのは「鉄」なのです。そして酵素のメインとなる材料は「タンパク質」。
この3つの栄養素は、シワが気になる肌の「攻め」と「守り」の対策、どちらにも不可欠といえるでしょう。
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吉川圭美(よしかわ・たまみ)
女性の美と健康(ダイエット、食を通じた不調ケア・アンチエイジング・美肌など)に関する編集者・ライターとして活躍。取材で出会った「オーソモレキュラー栄養医学」に魅了されて資格を取得し、現在は管理栄養士、栄養カウンセラーとしてアドバイスをおこなっている。
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