早いものでもう9月。うだるような暑さや強い日差しに当たり、肌や体がお疲れではないですか?
今回は、夏疲れや紫外線ダメージにさらされた肌や体を元気にする抗酸化成分「ファイトケミカル(フィトケミカル)」に着目。夏野菜やフルーツに含まれ、食事でしっかり食べたい成分です。目にも鮮やかな夏野菜を使った「紫キャベツのマリネとフルーツのサラダ」のレシピをお届けします。
お肌、疲れていませんか?
夏は暑さによる体力の消耗や熱い日差しによる疲れ、屋外と室内の気温差など、体に負担がかかりやすい季節です。どっと疲れが出たり、紫外線を浴びた肌の疲労が隠せなかったり、身体や肌の不調が気になる方も多いのではないでしょうか。
紫外線をたくさん浴びると、体内では、シミやしわの一因となる「活性酵素」が発生します。活性酵素とは、体内の酵素の一部が変化して強い酸化力を帯びたもののこと。増えすぎると細胞にダメージを与え、老化を促進させてしまいます。
そんな活性酵素を除去する働きをするのが、植物に含まれる「ファイトケミカル(フィトケミカル)」の抗酸化作用です。抗酸化作用の高いファイトケミカルを摂ることで、体内から老化にアプローチできるのです。
紫外線ダメージのケアや夏バテに。「夏野菜」がおすすめの理由
ファイトケミカルを含む身近な野菜やフルーツ。鮮やかな色に秘密がある。このファイトケミカルは、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素と、第6の栄養素である食物繊維に次ぐ、「第7の栄養素」と呼ばれる存在。植物が紫外線や有害物質、害虫などの害から身を守るために作りだした、鮮やかな色素や、アク、辛味、香りなどの成分で、体内の活性酵素を取り除く働きがあります。免疫力を高める作用やがん予防にも役立つことがわかっています。
このファイトケミカルを豊富に含むのが夏野菜や旬のフルーツ。食事で摂ることで、夏の疲れやダメージをケアし、肌を元気にしてくれるのです。
野菜や果物の鮮やかな色=ファイトケミカル。色別に効果をチェック!
ファイトケミカルには種類があり、期待できる効能も異なります。これは、野菜や果物の色素であり、つまり「色」で考えるととてもわかりやすいです。
赤、オレンジ、緑、黄色、紫、黒、白の7色に分類し、代表的な成分と期待できる効能、多く含まれる食材をご紹介します。
<赤系>
・リコピン
赤い色素成分でビタミンEの100倍、カロテンの2倍以上の抗酸化力/トマト、スイカ、柿など
・カプサンチン
緑の色素クロロフィルが分解されて赤く変化した成分。抗酸化作用が強い/唐辛子、赤パプリカなど
<オレンジ系>
・β-カロテン
体内でビタミンAに変換される。抗酸化作用、皮膚や粘膜を保護する/にんじん、かぼちゃなど
・ゼアキサンチン
抗酸化作用、目の働きを助ける/パプリカなど
<緑系>
・クロロフィル
植物の葉に存在し光合成を担う成分。抗酸化作用がある/ほうれん草、ブロッコリーなど
<黄系>
・ルティン
抗酸化作用や動脈硬化の予防に。目の働きを助ける成分も/とうもろこし、アスパラガスなど
・フラボノイド
血管壁の強化やビタミンの吸収を促す働き、抗酸化作用も/玉ねぎ、レモンなど
<紫系>
・アントシアニン
動脈硬化予防や視力の回復に、老化予防にも。抗酸化作用も/紫キャベツ、なす、ブルーベリーなど
<黒系>
・クロロゲン酸 抗酸化作用、食後の血糖値上昇を抑える、血圧低下作用/ごぼう、ヤーコン、じゃがいもなど
<白系>
・硫化アリル 抗酸化作用,ビタミンB1の吸収を促す、血流を促進する /玉ねぎ、にんにく、ニラなど
・イソフラボン
女性ホルモンに似た作用があり骨粗鬆症や動脈硬化予防に/ 大豆、ひよこ豆など
このように色素の成分によって、期待される作用が異なります。野菜やフルーツを選ぶとき、色を意識して選んでみるのもいいですね。
加熱せずに生がおすすめ!
抗酸化作用を期待するなら、なるべく「生」で食べること。単体よりも組み合わせて摂ることでバランスも整いやすいです。
色によってもおすすめの摂り方があります。
例えば、赤や橙(オレンジ)のファイトケミカルは、油と一緒に摂ると吸収率がアップします。サラダでいただくときは、ナッツやごま、少量のオリーブオイルをあわせて食べましょう。比較的、熱に強いため、油も一緒に摂れる炒め物がおすすめです。
緑や白のファイトケミカルは、グリーンスムージーやサラダなど「生」で摂ることで排泄を促す効果が期待できます。また、加熱をする場合は短時間がおすすめ。ブロッコリーは加熱をしすぎずさっと熱を加える程度にすると、大切な成分をしっかり摂ることができます。
今回ご紹介するのは、ファイトケミカルがたっぷりの夏野菜とフルーツを組み合わせたサラダのレシピ。夏の疲労ケアに、ぜひお試しください。
カラフルでフルーティな「紫キャベツとフルーツのマリネ」レシピ
紫キャベツ、赤玉ねぎ、トマト、巨峰を使ったカラフルな一皿。目にも鮮やかで満足感が得られる「紫キャベツとフルーツのマリネ」です。
手に入りやすい旬のフルーツに替えたり、くるみ以外にアーモンドなどのナッツ類を活用したり、アレンジもおすすめです。
「紫キャベツとフルーツのマリネ」
<材料・約4人分>
紫キャベツ…150g(1/4個ほど)
赤玉ねぎ…40g(1/4個ほど)
トマト…120g(1個)
巨峰…120g
クルミ…大さじ2
マリネ液[レモン汁…小さじ2、オリーブオイル…小さじ2、粒マスタード…小さじ1、粉末昆布出し(又は野菜ブイヨン)…小さじ1/2 、塩…小さじ1/4 、こしょう…少々]
<作り方>
1.紫キャベツは細切りに、赤玉ねぎは薄切りにしてボウルにとり、マリネ液を和える。冷蔵庫で30分程冷やす。
2.1に食べやすく切ったトマト、巨峰、刻んだくるみを加えざっくり和える。
ポイントは、マリネ液で和えて30分ほど冷やすこと。野菜の水分が出てカサが減り、たっぷり食べることができます。常備菜として作っておくのもおすすめです。
■「紫キャベツとフルーツのマリネ」の1人分の栄養量
エネルギー:94㎉、タンパク質:2.0g、脂質:5.6g、糖質:8.2g、食物繊維:2.2g、カリウム:265㎎、カルシウム:26㎎、鉄:0.4㎎、亜鉛:0.2㎎、βカロテン:186μg、ビタミンB1:0.07㎎、葉酸:87μg、ビタミンC:34㎎、食塩相当量:0.4g
巨峰の甘みとマリネ液のレモンの酸味、マスタードやスープの素のまろやかなうまみが広がる一皿。玉ねぎの辛味やキャベツの苦味もカバーするので、おいしくいただけますよ。
中村美穂(なかむら・みほ)
管理栄養士、フードコーディネーター、プラントベースフードアドバイザー、国際薬膳調理師。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や保育園栄養士の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。食事講座や栄養相談、書籍・雑誌・企業のレシピ提供も多数担当している。
撮影/中山実華、 構成・編集/小林ゆうこ
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