皮はむかない。準備10秒で冷凍庫へ
著者の沼津りえさん。料理家として活躍するほか、管理栄養士、調理師としての顔も持つ。暑くてキッチンに立つのもつらい夏。食材も傷みやすいし……と憂うつになっていましたが、本書を読んで俄然やる気がわいてきました。沼津りえさんが提案する「野菜まるごと冷凍」なら、下準備の時間は約10秒。トマトもなすも玉ねぎもとうもろこしも、大胆に「皮ごと」冷凍庫に入れるだけでいいのです。
皮をむかずに、できるだけそのままの姿形で冷凍してみたらどうなるのか、最初はフルーツから、そして野菜へと発想は広がっていきました。
やってみると、発見がいっぱい。まず、まるごと冷凍はラクちん! たとえば玉ねぎ。従来の「皮をむいて→切って→ラップして→保存袋に入れて→冷凍」と、「まるごとポリ袋に入れて→冷凍」を比較したら、前者は15分かかったのに対し、後者はなんと10秒! まったく手間がかかりません。皮をむいていないので鮮度が落ちないし、味もおいしいまま。
(『野菜まるごと冷凍レシピ』3ページより引用)
野菜を冷凍すると細胞内の水分が凍り、加熱したときに細胞膜が壊れやすくなるため、火の通りがはやく、味がしみ込みやすくなるのもメリット。冷凍玉ねぎの場合、生のものを炒めるよりもかなりはやくあめ色になり、味も濃くなるのだとか。炒めるときの油もいらないので、カロリーを控えめにしたいときにもおすすめです。
さらにじゃがいも、トマト、桃などは、冷凍してから水にひたしてしばらくおくと、皮を手で薄くむくことができます。小松菜などの葉野菜やオクラは、熱湯をかけて1分おくだけで、下ゆでしたのと同じ状態に。野菜をまるごと冷凍するだけで、下ごしらえまで簡単になるとは驚きでした。
玉ねぎもトマトも冷凍するだけでまろやかに
冷凍して甘みが増したトマトで作る「冷製トマトパスタ」(『野菜まるごと冷凍レシピ』」より)本書を読んで、さっそく冷蔵庫にあった野菜をいくつか冷凍してみました。玉ねぎはキッチンペーパーで表面の汚れを軽くふき、ポリ袋に入れて冷凍庫へ。皮ごとなので使うときはちょっと心配になりますが、水に1分ほどひたすと表面が溶けてきて、簡単につるんとむくことができました。
うれしかったのは、みじん切りにしても涙が出ないこと。味わいにも変化があり、玉ねぎ独特のツンとする感じがかなりやわらいだ気がします。本書では焼き肉によく合うという「万能うまだれ」が紹介されていましたが、すりおろしてドレッシングに入れても良さそうです。
安いとつい買ってしまうトマトも、鮮度が落ちる前にまるごと冷凍。玉ねぎと同じく、トマトも冷凍すると酸味がやわらいで、甘みがグッと増すのだそう。溶け始めると水分が出てくるので、ざく切りにして味つけをするだけで、しゃれた冷製パスタのソースが完成します。
冷製トマトパスタ
材料(2人分)
冷凍トマト…2個
スパゲッティ…150g
バジル…4~5枚
塩…小さじ2/3
こしょう…少々
オリーブ油…大さじ2
作り方
1.なべにたっぷりの湯を沸かし、塩(分量外)を加えてスパゲッティを袋の表示時間どおりにゆでる。
2.冷凍トマトは水に2~3分ひたし、手で皮をむいてからざく切りにする。ボウルに入れ、バジルをちぎって加え、塩、こしょうで調味する。
3.スパゲッティがゆで上がったら流水で洗って水けをきり、2に加えてまぜる。器に盛り、オリーブ油を回しかける。
(『野菜まるごと冷凍レシピ』21ページより引用)
このソース、うどんやそうめんにも合うとのこと。猛暑のランチタイムでしたが、冷たいトマトが手に気持ち良く、楽しく料理ができました。
冷凍野菜の「新しいおいしさ」を発見
シャリっとした食感が新しい「ズッキーニのフローズンカプレーゼ」(『野菜まるごと冷凍レシピ』」より)「野菜まるごと冷凍」は、下ごしらえ不要で1か月も保存できるという便利さに加えて、野菜の新しいおいしさに出合えるのが魅力です。夏に旬を迎えるズッキーニなら、鮮度のいいものを凍ったまま食べるのもおすすめだと沼津さん。薄切りにした冷凍ズッキーニとモッツァレラを合わせた「ズッキーニのフローズンカプレーゼ」は涼しげで、夏の家飲みにもぴったりです。
冷凍野菜を加熱するときのコツなど、細かなポイントはぜひ本書を参考に。今後は旬の野菜を見つけたら迷わず購入して、冷凍野菜ライフを楽しみたいと思います。
1,430円
コメント
新しいおいしさとか言ってるが
要するに食えなくはないが味も触感も別物になるということ
そもそもの話、そのままの状態の物を入れられる大きめの冷凍室を確保してる冷蔵庫を買わないと無理なんよね
ブナジメジは逆に嗚咽するほどまずくなって逆に驚いた。
(ID:21404111)
特に夏、子供がいる家庭とか冷凍庫開け閉めする人多い場合は無理っス。温度変化の霜が本気できつい。