小麦粉料理は「マスターすれば一生もの」
主食とおかずが一度に楽しめる「水餃子」は、定番の豚肉+キャベツのほか、海老+香味野菜、羊肉+トマトなど餡のバリエーションも紹介(『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』より)アジアの街角で食べる小麦粉料理は、どうしてあんなにおいしいのでしょうか。アツアツのネギ餅、揚げたての油条(揚げパン)を添えた温かい豆乳、もっちりつるんとした水餃子……。コロナ禍で旅行が遠くなり、懐かしの味を思い出してはたまらなくなっている人に、ぜひおすすめしたいのが『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』です。
著者のウー・ウェンさんウーさんの出身地は、小麦粉料理が主食という中国・北京。地元では小麦粉も水も目分量で作るのが普通だそうですが、誰でも気軽に挑戦できるように、「小麦粉100g」という最小単位にこだわったレシピ本となっています。
小麦粉料理の上達には、とにかく慣れるのがいちばんです。「100g」の最小単位をマスターすれば一生もの。自由に単位を増やし、ご家族やご友人と一緒に作る楽しさは、どなたにも喜んでいただけることでしょう。手作りは最高のぜいたくです。
(『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』3ページより引用)
100gは肉まんにすると4個分、餃子にすると20個分ほどの量とのこと。確かにこれなら材料費も手軽だし、失敗を恐れずにチャレンジできそうですね。
小麦粉料理の世界がどんどん広がる
「肉まん」は、ひき肉ではなく、自分で粗みじんにした豚肉を使うとジューシーに仕上がる(『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』より)本書で紹介されているのは、ウー・ウェンさんが得意とするバリエーション豊かな北京小麦粉料理の数々。
ジューシーな餡をくるんだアツアツの肉まんは、上手に作れたらパーティに、手土産にと大活躍まちがいなし。水餃子は「タンパク質+野菜」をベースとした様々な餡が紹介されていて、鶏挽肉+ザーサイ+三つ葉、厚揚げ+えのき+青じそなど、新鮮な取り合わせがたくさんありました。
試してみてすごく簡単なのに好評だったのは、ウーさんの母親が朝ごはんや夜食によく作ってくれたという「ガーダスープ」。ガーダは“たんこぶ”や“げんこつ”のような意味で、麺でも皮でもない小麦粉料理の総称のようなものだそう。
小麦粉と水を少しずつ混ぜて細かい固まりを作り、スープに入れて煮込むだけなので、あっという間に1品ができ上がります。これ以上ないくらいシンプルだからこそ、混ぜ方が重要なポイント。何度も繰り返し作って慣れれば、忙しいときの強力な助っ人になってくれる料理です。
(『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』41ページより引用)
ガーダスープ
<材料(2~3人分)>
(生地)
薄力粉…100g
水…40ml
(スープ)
水…800ml
トマト(ひと口大に切る)…2個
卵…2個
粗塩…小さじ1/2
黒胡椒…少々
太香胡麻油…大さじ1/3
<作り方>
1. 鍋にスープ用の水を沸かし、沸騰したらトマトを加え、2~3分間煮る。
2. 生地を作る。ボウルに薄力粉を入れ、水を少量ずつ加えては菜箸で混ぜる。乾いた粉に水を少しずつかけながら混ぜ、全体がフレーク状になるまで丁寧にかき混ぜる。乾いた部分がなくなればOK。
3. 沸騰したスープの中に2を菜箸でほぐしながら加える。
4. ガーダが表面に浮き上がってきたら、溶きほぐした卵を回し入れる。
5. 卵に火が通ったら、粗塩、黒胡椒、太香胡麻油で調味する。
(『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』41~43ページより引用、一部編集)
100gの小麦粉に入れる水は40mlと少量なので、最初は「本当にこれでまとまるの?」と心配になりましたが、少しずつ水を注ぎながらかき混ぜていくとしっかりフレーク状になりました。
スープは水にトマトを入れて煮込んだだけのシンプルなもの。小麦粉の種に火が通ったら、溶き卵をふんわり回し入れていきます。味つけは粗塩、黒コショウ、ゴマ油。すいとんと似ていますが、小粒でつるんとしたガーダの食感にあっさりしたスープがよく合って、定番にしたいおいしさでした。
スタイリスト・伊藤まさこさんの演出も魅力
手で押さえなくても180度開いた状態がキープできる製本法を採用し、両手がふさがっても見やすい工夫がされている小麦粉料理は生地をこねたり具を包んだり、作る工程も醍醐味のひとつ。本書は本が180度開く「コデックス製本」になっており、両手がふさがっていてもストレスフリーで調理過程を確認できるように工夫されています。
さらに、人気スタイリスト・伊藤まさこさんが私物を持参してウーさんの器と組み合わせ、中国と日本が融合した美しい食卓を演出しているのも魅力です。
中国では小麦粉に加える水の温度を、水、ぬるま湯、熱湯と使い分けることでグルテンの量をコントロールし、味や質感を変えているといいます。小麦粉、水分、油という形のないものから美味が生まれていく様子は、ちょっとした魔法のよう。小麦粉料理の達人を目指して、1品ずつマスターしていきたくなりました。
1,980円
写真提供/高橋書店
コメント
すいとんは一つ一つ練るので全く別物
(ID:200623)
要するにすいとんですな