つらい頭痛。鎮痛剤ばかりに頼るのも気が引けて……
Q:梅雨時季だからか、頭痛を感じる日が増えています。もちろんひどいときは頭痛薬に頼ることもありますが、何か栄養で対策できるでしょうか。
A:マグネシウムを意識して摂っていますか?
片頭痛が起こる理由はさまざまありますが、分子整合栄養医学の視点で考えたとき、原因のひとつとして、マグネシウムが不足していることが考えられます。
しゃべる、笑う、食べる。日常生活の裏にマグネシウムあり
「マグネシウム」といってもピンと来ない方もいるかもしれません。これは私たちの体に欠かせないミネラルの一種。筋肉や骨などに存在し、全部で約25グラムのもの量が存在しています。その役割は、ひとことで言えば体内にある300以上の酵素反応に関わっているということ。
しゃべる、笑う、食べる、息をする……。ごく当たり前のことに見えますが、こうした何気ない活動は、酵素の活躍なしには語れません。そんな酵素のサポート役としても、マグネシウムは大活躍しています。
細胞のスイッチのオンオフがうまくいかない
また、体の細胞のスイッチ役を、カルシウムと協業しておこなうのもマグネシウムの大事な仕事です。たとえば足を曲げる、というシーンを想像してみてください。このとき体のなか、筋肉の細胞では外側のゲートが開き、カルシウムが入ることで細胞はキュッと収縮します。そして足の力を抜くときは、細胞内にあるカルシウムが外に出ていきます。ここで排出のコントロールをおこなうのがマグネシウムです。
マグネシウムが足りなくなるとどうなるのでしょう。筋肉がピッと緊張したままの状態となります。これがこむら返り。脳細胞で起こった場合は……。これが片頭痛の引き金となる要因のひとつと考えられています。実は片頭痛持ちの多くがマグネシウム不足ともいわれます。
また、カルシウムとマグネシウムのコンビは、体内のいたるところで働いています。もちろん心臓でも。なくなってしまうことは心臓が動かなくなること、つまり死を意味します。だから骨などに貯えられ、コントロールされていると考えることができます。両者は「ブラザーイオン」なんて呼ばれ方もされるほど密接に関わっており、一定の比率で存在しています。
和食素材やにがりを取り入れて
近年、マグネシウム不足の傾向にあるといわれる日本人。
マグネシウムは魚や海藻類、豆類といった食材に多く含まれます。これらがたくさん登場するのは和食。逆に言えば、焼き魚や味噌汁などをあまり食べない方は、マグネシウムをとるチャンスも少ないと考えることができます。白いパンなど精製された穀類、お菓子、アルコールをよくとっている方も不足しがちです。
加えて、日ごろからストレスが多い方も要注意。尿から大量に出てしまいます。マグネシウムは神経を落ち着かせる役割を持っており、抗ストレスミネラルとも呼ばれるほど。仕事や人間関係など、ストレスがかかりがちな現代女性はどうしても不足しやすいといえます。
そのためには和食を取り入れるほか、塩もミネラルの多い天然塩にする、ナッツをおやつにする、アーモンドミルクを取り入れる、などなど。にがりをドリンクに数滴入れるのも効果的です。サプリメントを活用するのもいいですね。わたしも片頭痛が気になるとき、まず手にとるのがマグネシウムです。
サプリメントを活用する場合は、質の良いものを選ぶのを忘れずに。また、痛みを起こしやすくする活性酸素を増やさないよう、スナック菓子など劣化した油脂をとらないようにする、ストレスを増やさないよう意識する、フレッシュな野菜などから抗酸化物質を取り入れる、といったことも。血糖値の乱高下を起こさないよう甘いものは控える、といったことも大切です。
頭痛薬は正直、あまり飲みたくない、という方は多いはず。まずは栄養で、できることから始めてみませんか? もちろん、ひどい頭痛が続くようであれば頭痛外来の受診も検討してください。
吉川圭美(よしかわ・たまみ)
女性の美と健康(ダイエット、食を通じた不調ケア・アンチエイジング・美肌など)に関する編集者・ライターとして活躍。取材で出会った「オーソモレキュラー栄養医学」に魅了されて資格を取得し、現在は管理栄養士、栄養カウンセラーとしてアドバイスをおこなっている。
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