エクモが教えてくれた「肺」の重要性
順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”であり、自律神経研究の第一人者として知られる小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)。本書では弱った肺を修復する11の「肺活トレーニング」を中心に、“肺の中にたくさんの空気を入れる”ことで体調を整える方法を教えてくれています。
小林先生が肺機能の重要性を知ったのは、学生のときのECMO(エクモ)の実習がきっかけだったそう。新型コロナウイルス感染症の治療では、「最後の切り札」とも呼ばれるエクモ。その役割は、肺の機能を代理で行い、その間に肺を一時的に休ませて、回復や治療の時間を稼ぐことです。
私が外科研修医時代、エクモの勉強でもっとも驚いたのが、含まれているガスが二酸化炭素か酸素かによって変わる「血液の色」についてでした。二酸化炭素を含んだ濁った血液が、人工肺を通過すると鮮やかで健康的な色に生まれ変わるさまを見て、「肺」がいかに健康状態に大きな影響を与えるかを思い知りました。そして、知識としてはもちろん知っていましたが、「酸素は血液に乗って全身に運ばれていく」ということを、エクモを目の当たりにして痛感したのです。
(『最高の体調を引き出す超肺活』3ページより引用)
人間は、呼吸を通して酸素と二酸化炭素のガス交換を行わなければ生きていけません。しかし呼吸は意識しなくてもできるため、食生活などと違って、「呼吸の質」についておざなりにしがちなのが問題。その結果、いま「たっぷり酸素を吸えていない人」がとても多くなっていると小林先生は指摘します。
肺の機能は40歳から急激に衰える
たっぷりと酸素が吸えなくなるのは、肺の機能の衰えが大きな原因です。肺の機能低下は、肺の中に張り巡らされた気管支の先にある「肺胞(はいほう)」が壊れたり、炎症が起きたりすることで起こります。この現象は20代ごろから加齢とともに進み、40歳から急激に衰えていくとのこと。しかも脳細胞が壊れると元通りにならないのと同じように、一度壊れた肺胞は二度と再生することができません。
では「肺の劣化」はあきらめるしかないのかというと、そうではないと小林先生。
肺の機能は何歳になっても高めることができます。実際、臨床の現場では、肺の手術が決まっている患者さんに、手術の1週間前から肺の機能を鍛えるためのトレーニングをしてもらいます。肺胞そのものを復活させることはできませんが、呼吸する力を強化し、血液に取り込む酸素量を増やすことはできるのです。
(『最高の体調を引き出す超肺活』7ページより引用)
肺機能の衰えをカバーするためには、筋トレならぬ肺を鍛えるトレーニングが必要。そのために考案されたのが、呼吸器研究、循環器研究、自立神経学などをベースとした「肺活トレーニング」です。
「胸郭のトレーニング」で呼吸がラクに
「肺活トレーニング」のポイントとなるのは、肺を収めるかご状の骨格である「胸郭(きょうかく)」です。胸郭には肋間筋など、呼吸のために使われるさまざまな筋肉がくっついています。これらの「呼吸筋」を鍛えることで、胸郭のスムーズな拡張が促され、ゆっくりとした深い呼吸ができるようになるのだとか。
こちらは最初に行う「胸郭のトレーニング」。実際に試してみると、デスクワークでカチコチになった上半身がふわっとほぐれて、呼吸がラクになった実感がありました。
胸郭のトレーニング
(『最高の体調を引き出す超肺活』より)(1)
1.足を肩幅に開き、まっすぐに立つ。
2.両手を頭上に伸ばして、手首を固定するように交差させる。
3.鼻から息を吸いながら、腕を上へと伸ばす。(2)
1.手首を交差させたまま、口からゆっくりと息を吐きながら体を右方向にゆっくりと倒す。
2.鼻から息を吸いながら1の姿勢に戻す。
3.左も同様にする。(『最高の体調を引き出す超肺活』154~155ページより引用)
しっかり呼吸をしながら筋肉を伸ばすことで、肩甲骨と胸郭が広がって、胸郭全体のストレッチになるとのこと。確かにトレーニング後は呼吸が深くなり、その感覚が体に残るので、ゆっくりとした呼吸を意識して続けることができた気がします。
呼吸は生命維持に欠かせないだけでなく、自律神経を直接コントロールできる手段でもあると小林先生はいいます。最高の体調は、肺を鍛え、ゆっくり呼吸し、自律神経を整えてこそ得られるもの──。ウイルスや病気に負けない強い体を作るためにも、今後は「肺活」への注目度がますます高まりそうです。
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コメント
呼吸器系のスペシャリストじゃないくせにそんな事ほざかれてもなwww
(ID:751751)
普通にジョギングや水泳じゃ駄目なのだろうか