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骨盤のゆがみ、ポッコリおなかの原因にも。早くから始めたい骨盤底のケア

2021/03/26 18:00 投稿

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自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。今回は「女性のデリケートゾーン(骨盤底)」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

骨盤底は、健やかな人生を送るためのキモ

骨盤底は、骨盤のいちばん底にあって、子宮や下半身の臓器を支える骨盤底筋やじん帯・筋膜で構成されているプレートのことです。加齢だけでなく、運動不足、妊娠・出産でも衰えます

とくに40代からは、かゆみ、乾燥、頻尿、尿もれ、性交痛だけでなく、全身のさまざまなトラブルの原因につながってくるため、人生100年時代にいつまでも美しく、快適に生きるには、骨盤底はケアすべき重要な場所です。

骨盤底にある筋肉=骨盤底筋は、恥骨から左右の坐骨結節の間に張っています。坐骨結節は、意識しづらい場所ですね。

坐骨結節を確認するには、椅子に座って、てのひらを上にしてお尻の下に置いてみてください。手の指が触れる、硬い骨の出っ張りの部分がそうです。左右のお尻に、ひとつずつあります。

骨盤底にある骨盤底筋は、肛門や腟を意識して「締める→緩める」を繰り返すことで、鍛えることができます

骨盤底筋が衰えると、こんな不調が

骨盤底筋が衰えると、どうなるのでしょうか。まず、骨盤が歪み、下腹がポッコリ出るなど、ボディラインの崩れが起こります

それに加えて、腟のゆるみ、萎縮、頻尿、尿もれ、下腹部痛、性交痛、骨盤臓器脱(子宮脱)などを起こす危険が高まります。また、これらの不調によって、うつ病リスクも高まるといわれています。女性のQOLを著しく低下させるのが骨盤底筋の衰えです。

骨盤底筋の大きな役割のひとつが、排泄のコントロールです。骨盤底筋は、便意や尿意があるとゆるみ、排泄を促します。ところが、骨盤底筋に過剰な負荷がかかり、骨盤底筋を締める力が低下すると、頻尿や尿もれの原因になります。

骨盤底筋は、骨盤の底にあって、恥骨、坐骨結節、尾骨についている筋肉で、骨盤内の臓器である、膀胱や子宮、直腸を支える役割があります。そのため、骨盤底筋が衰えると、骨盤臓器脱といって、腟から子宮が出てきてしまう子宮脱や膀胱が出てしまう膀胱瘤、直腸が出てしまう直腸瘤の原因にもなるのです。

骨盤底筋は鍛えないと、どんどん衰えます

これらは、出産によって、骨盤底筋や靭帯、筋膜が伸びて、断裂することでも起こりますが、40代になって更年期に、女性ホルモンの低下や筋肉の衰え、コラーゲンの減少によっても起こります。

骨盤底筋は、手足同様、鍛えれば筋力はアップし、何もしなければ衰える骨格筋です。普段、意識しないでいると、手足の筋肉よりも衰えるのが早いのです。

頻尿、尿もれ、骨盤臓器脱は、締める力の低下によって起こりますが、一方で、緩めることができず、腟が萎縮し、痛みでセックスができなくなる人もいます。

肩こりと同様のメカニズムで、筋肉が緊張すると血流が悪くなり、痛みを起こす発痛物質が滞るため、痛みが出てくる場合があります

筋肉の衰えのピークは、エストロゲンの分泌が減る閉経後です。

女性ホルモン低下が引き起こす新疾患「GSM」

更年期に、おしものかゆみ、乾燥、頻尿、尿もれ、性交痛があれば、「GSM(Genitourinary Syndrome of Menopause/閉経関連尿路生殖器症候群)」という疾病の可能性もあります。

GSMは、女性ホルモンの低下にともなう外陰部や腟の萎縮と脆弱化で、泌尿器と生殖器の症状が顕著に起こります。

以前は、老人性腟炎と呼ばれ、年だから仕方ないと放置されていました。けれども、2014年に、国際女性性機能学会と米国更年期学会が新たな疾患概念としてGSMを提唱しました。

GSMは、ゆっくりと確実に進行し、閉経後には半数以上の女性の生活の質が低下していることが明らかにされています。

症状は、外陰部・腟の乾燥感・灼熱感・かゆみ、尿失禁、頻尿・尿意切迫感、排尿困難感、膀胱炎の繰り返し、性交時のうるおい不足、性交痛、性的欲求低下、オーガズム低下などと多岐にわたります。

GSMの3大症状は「外陰部・腟のかゆみ、尿もれ、性交痛」です。

頻尿、尿もれ、性交痛、腟の萎縮で困っている人は、女性泌尿器科や婦人科で相談してください

ホルモン補充療法や腟錠の治療も

GSMの治療薬の第一選択肢は、女性ホルモンを補充するホルモン補充療法(HRT)とされています。保険適応薬で、飲み薬、貼り薬、塗り薬と種類も豊富です。

しかし、全身へのホルモン補充療法(HRT)は、「乳がんや子宮がん、血栓症などの既往があると使えない。十分に症状が改善しない人もいる。60歳以上だと血栓などの動脈硬化のリスクがあり処方されにくい」という問題があります。

そのため、上記に当てはまる人には、全身のホルモン補充ではなく、局所(腟)にホルモンを補充する治療で、エストロゲンの腟剤を使われることもあります。

オイルを使っておこなう膣マッサージも大切

エストロゲンを配合したオイルや妊産婦さんの会陰マッサージに使うオイルを使って、腟の粘膜をマッサージします。オイルをつけて、人差し指の第一関節くらいを腟に入れて、指をグルっと回しながらマッサージ

オイルは、外陰部の皮膚にも使います。

腟マッサージは、乾燥、萎縮した腟を柔らかく柔軟にしてくれます。

さらに、ジムやクリニックなどで行う骨盤底トレーニング、ピラティスなどの運動療法を専門家に教わることも大切です

軽い尿もれや頻尿の段階ならば、薬を使わずに、骨盤底トレーニングで80%改善すると言われています。

また、症状がなくても、早い段階から骨盤底トレーニングを習慣化しておくと、予防になります。

これらの治療でも改善しない人には、女性泌尿器科や婦人科で行っているフラクショナル炭酸ガス(CO2)レーザーで、腟や外陰部を照射する治療もあります。

GSMの症状を改善して、デリケートゾーンの若返りをめざす治療です。

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増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか、『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)など著書多数。 NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ

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