永遠の悩み「ドライアイ」をあきらめない
スマホやPCの使いすぎで、ドライアイに悩む人がたくさんいます。けれども、ケアすれば改善可能。症状がひどい人でも、眼科で自分に合った点眼薬を処方してもらうことでかなり改善できます。
ドライアイの点眼薬の基本は3種類。そのほか、セルフケアについてもお伝えします。
スマホやPCの使いすぎで起こるドライアイにどう対応する?
日本では、患者数が2,000万人を超えるといわれているドライアイ。スマホやパソコンの長時間使用が要因と考えられています。
ドライアイは30代から増え始め、40歳以上では悩みが多く、「もう、どうしようもならない」と諦めている人さえいます。
ドライアイは、失明の危険はありませんが、生活の質を損なう病気です。昔は「乾く」という症状だけ、と捉えられていました。しかし、それだけではありません。
ゴロゴロする、目を開けるのがつらい、疲れる、見づらい、目が痛い、充血するなど、視機能の異常を起こすことが明らかになっています。
「涙の分泌量低下」と「涙の過度な蒸発」を改善
健康な涙で被われている目は、表面がツルツルして、くっきりとした画像を映し出すことができます。
しかし、角膜や結膜上皮の表面にある「涙液層」が不安定になると、涙の表面が凸凹になり、画像が乱れ、疲れにもつながります。
涙液層が不安定になる原因は、「涙の分泌量の低下」と「涙が蒸発し過ぎること」です。
涙の分泌量低下は、加齢による涙腺の委縮、緊張状態やストレス、コンタクトレンズの使用などによって起こります。
加えて、女性に多い自己免疫疾患のひとつ、シェーグレン症候群によるドライアイやドライマウスの症状もあるので、注意が必要です。
涙が蒸発し過ぎる要因は、エアコンの風、空気の乾燥、スマホやパソコンの使用によるまばたきの減少や、涙表面の油分不足です。
眼科で自分に合った点眼薬を処方してもらうことが基本
ドライアイは、肩こりや頭痛、気分の低下など、さまざまな不快症状を起こします。このような不快症状を感じたら、眼科を受診して、ほかの病気がないことを確認しましょう。
涙の量が減るだけでなく、年齢とともに涙の質も変化していきます。眼科では、涙の量を測定するシルマーテストや、涙の質を調べるBUT検査で調べます。
治療の基本は、点眼薬です。ドライアイのための点眼薬には3種類あります。涙の成分を目の表面に保つ「ヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン)」、目の表面の粘膜から水分などを分泌させる「ジクアホソルナトリウム(ジグアス)」、粘膜を修復する「レバミピド(ムコスタ)」です。
自分の涙の状態に合わせ、3種類の点眼薬の中から自分に合ったものを医師から処方してもらえます。自分のドライアイに合った目薬を使えば、治療効果は高いといわれています。
また、処方薬だったヒアルロン酸ナトリウム(ヒアレイン)は、「ヒアレイン」としてドラッグストアや薬局などで市販されています。水を引きつける保水作用があり、涙の水分を目の表面に保ちます。
生活環境の見直しも重要です
さらに、生活環境の見直しも大切です。ぜひ以下の3つに気をつけて、目をいたわってあげてください。
エアコンの風向きと湿度を見直す
低湿度や低温は、涙の蒸発を加速させます。冬場になるとドライアイが悪化するのはそのためです。
冬以外でも、冷房の効き過ぎや扇風機の風を直接受けることで、目は乾きます。エアコンの風向きを変えたり、オフィスでも自分用の加湿器を置くなど、目の保湿を意識した環境づくりをしましょう。
PCの作業環境を見直す
眼精疲労はドライアイの一因になります。パソコン作業の環境として、部屋全体を明るくするとともに、画面と資料などの書面の明るさを同じにすることが大切です。
また、画面に蛍光灯や光などの映り込みや反射があると疲れるので、チェックしてみてください。
まばたきは通常は3秒に1回程度ですが、パソコン作業中は10~20秒に1回ほどに減ります。そうすると涙が蒸発し、水分が足りない状態になります。意識してまばたきすることも大切です。
正しい眼鏡を見直す
あっていない眼鏡が、眼精疲労を引き起こすこともあります。眼科で検眼をして自分の目にあった眼鏡をかけることが大切。
とくに、老眼鏡を使う場合は、手元を見るときだけの安価なもので済ませるのではなく、「これはパソコン作業をするとき」「これは本を読むとき」と、目と対象物の距離にあわせて眼鏡を変えましょう。
また、老眼になっても眼鏡をかけないでいると、ピント調節に目はいつも苦労し、眼精疲労が加速します。眼鏡をかけることで、老眼が進むことはありません。
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増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ