とれない疲れとストレスは「食べて、ととのえる」
『実身美(サンミ)の養生ごはん』(ワニブックス)は、大阪をはじめ、東京・大手町でも大人気のオーガニックカフェ「実身美(サンミ)」のレシピを紹介した一冊。「実身美」という名前は、実があって、身体によくて、美しくなる──という3つの「み」を並べたもので、代表である大塚三紀子さんの想いが込められています。
忙しさとストレスに追われて、食事を「適当に」すませてしまう。
そんな人たちにも、外食で「家族のために作るような食事」を食べてもらいたい。実身美をはじめたのは、そんな気持ちからでした。
(『実身美の養生ごはん』2ページより引用)
玄米ごはんを中心に、酵素や食物繊維をたっぷり摂れるメニューが「実身美」の特徴。その根本にあるのは、食事で体を労るという「養生」の考え方です。
四季の食材と調理法のハーモニーが「養生」の鍵
スーパーに行けば、一年中ほとんどの野菜が手に入ります。気がつけば買っているのはいつも同じ野菜だったりしませんか?
(『実身美の養生ごはん』6ページより引用)
そんな問いかけから本書ははじまります。言われてみると確かに、家の冷蔵庫のスタメンは味が好みで、価格が手頃で、調理法もイメージしやすい“いつもの野菜”。旬の野菜が健康によいのはわかっていても、レシピが思い浮かばないのでつい敬遠してしまうのです。
しかし「養生」では、四季折々の食材と、やはり四季に適した調理法を組み合わせることが重要。それによって、「その季節に私たちの体にとって必要な栄養素」を取り入れることができるといいます。
春は蒸し料理、夏は炒め物がおいしい理由
たとえば春。厳しい冬を乗り越えた体は、冬に溜め込んだ老廃物を排出する“デトックスモード”になります。生命力に溢れた体の巡りをさらに高めてくれるのは、春に芽が出る山菜や緑の濃い野菜、滋養たっぷりの貝などです。
そして春は、調理法のなかでも“蒸す”のがおすすめだそう。
冬と夏の間で陰と陽のバランスがよく、暖かくなりはじめる春は、ほどよく火を通し、栄養をまるごと食べられる「蒸す」調理法がぴったり。(中略)味の流出も少なく、それぞれの味の個性が際立つ調理法ですから、それぞれの野菜の味を再確認できます。
(『実身美の養生ごはん』20ページより引用)
いっぽう夏のおすすめは、フィリピンやベトナムなど、暑い土地の料理に多い“炒め物”です。
また、夏は紫外線も強くなるので、抗酸化物質が必要。そして、抗酸化物質は野菜の色素や香りに含まれていて、これもまた長時間の調理には向きません。さらに、これらは油との相性がよく、吸収率が高まります。使いすぎには注意が必要ですが、油を敵視せず、炒めるときに使うのは理にかなっています。
(『実身美の養生ごはん』56ページより引用)
太りやすい秋は味つけをひと工夫する、体を冷やしがちな冬は“煮込み”を活用するなど、季節によって調理法を変えるという提案には納得。それぞれおいしそうなレシピが豊富に紹介されていて、季節ごとの調理のイメージが湧きやすいのも嬉しいところです。
四季折々の食材と、四季に適した調理法からメニューを決める。こうした視点を持つと、毎日の献立を考えるのがぐっとラクになる気がします。
旬の食材は味が濃いので、シンプルな調理で済むのも魅力。本書を片手に、スーパーに並ぶ「おいしそうな顔」をした食材を探しに行きたくなりました。
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