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「緑茶」は1日に何杯飲むといい? 糖尿病や認知症のリスクを下げるという報告も

2020/12/11 18:00 投稿

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長く日本人の食生活に親しまれてきた緑茶。ダイエット効果や血糖値を下げる効果なども注目され、「トクホ(特定保健用食品)」のお茶を選ぶようにしている、という方も少なくないはず。

日本のスーパーフードともいえる緑茶、実はまだ知られていない健康効果の可能性があるようです。

今、脚光を浴びているのは緑茶に含まれる成分のひとつ「テアニン」。その知られざるパワーについて、九州大学大学院医学研究院 教授・医学博士の二宮利治さんにうかがいました。

お茶をよく飲む人は、糖尿病になりにくい?

テアニンとは、緑茶に含まれるうま味成分。これまでは、主にリラックス効果をもたらす成分として知られていましたが、2019年5月に発表された研究結果で「2型糖尿病の発症リスク低減」に働く可能性が明らかになりました。

発見の舞台となったのは、福岡市に隣接する糟屋郡久山町(かすやぐん・ひさやままち)。ここでは、久山町と九州大学によって、1961年から55年以上にわたって40歳以上の住民を対象にした健康調査が実施されていて、その成果は「久山町研究」として世界的にも高い評価を得ています。

「1985年ごろから認知症が増えてきたことに伴い、認知症の危険因子を突き止める研究を重ねてきました。その結果、高血圧や糖尿病、血糖値を急上昇させる食事などが危険因子となることがわかったのです。

とくに糖尿病の方は、正常な方と比べてアルツハイマー型認知症へのなりやすさが約2倍にもなります」(二宮教授)

そこで、糖尿病を防ぐためにはどんな生活習慣が望ましいのか、の研究に着手することに。注目したのが、緑茶に含まれるテアニンです。こうして、二宮教授を中心とする久山町研究とサントリーとの共同研究が始動することになったのです。

「テアニンは、体のなかでグルタミンとエチルアミンという成分に分解されます。緑茶を一日に2〜3杯以上飲む生活をしている人は、血中のエチルアミンの濃度が高いことがわかりました。

さらに、エチルアミンの濃度が高い人は、血中にエチルアミンをほとんど含まない人に比べて30%ほど糖尿病になりにくい、というデータが出たのです」(二宮教授)

30〜40代からの緑茶習慣で健康効果をアップ!

テアニンの効果については、さらなる研究が続けられている最中ですが、私たちの健康にとってうれしい働きをしてくれることは間違いなさそう。

「糖尿病、認知症というと、高齢者の病気というイメージが強いかもしれません。

しかし、アルツハイマー型認知症の場合、50代ごろから脳を萎縮させる成分が蓄積し始めると言われています。30〜40代の若いときから、認知症、糖尿病になりにくい生活を心がけることが、予防効果を高めるためにも大切だと考えます」(二宮教授)

二宮教授がおすすめするのは、緑茶を暮らしに取り入れ、食事や会話を楽しむこと。

「緑茶のうまみを感じながら、ほっとくつろいだり、友人や家族とおしゃべりしたりすることは、認知症の予防にも大切だと言われる“社会活動の維持”にも結びつきます。

また、緑茶をおいしいと感じる味覚を育てることは、バランスのよい食生活にもつながると思います。大豆製品、野菜、海藻、魚介類などを積極的に摂る食事は、発症リスクを下げることがわかっています」(二宮教授)

テアニンリッチなお茶を淹れるなら、かぶせ茶を低めの温度で

血中のエチルアミンの濃度を高めるためには、一日に2〜3杯、500〜600mlの緑茶の摂取が目安とのこと。

「テアニンは光に弱いので、深蒸し茶玉露など、日光に当てないで製造させる“かぶせ茶”がおすすめ。

60度くらいのお湯で淹れると、テアニンがたっぷり抽出されてうまみの濃い、おいしいお茶になります。逆に沸騰したお湯で淹れれば、カテキンがたくさん出て、渋みの強いどっしりした味わいに」(二宮教授)

テアニンの量は、60度以上のお湯であれば変わらないそう。気分に合わせて、淹れ方を変えるのも楽しそうです。

「急須に残った茶がらは、酢醤油であえたり、佃煮にしてもおいしいですよ。飲むだけでなく、茶葉を料理に使うのも、お茶が持つ栄養成分を丸ごと摂ることができていいですね」(二宮教授)

仕事の息抜きにお茶を飲んでリラックスしたり、料理やスイーツに使ったりと、楽しみ方はいろいろ。日本が誇るスーパーフード、緑茶の力をぜひ暮らしに取り入れたいですね。

取材・文/浦上藍子

──この記事は、 2019年7月26 日の記事の一部を再編集して掲載しています。

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二宮利治(にのみや としはる)教授
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野教授、医学博士。久山町研究で、2日症・高血圧・脳卒中・虚血性心疾患・慢性腎臓病などの発症率、危険因子について研究。認知症や心血管病などに関する国際共同研究にも参加。

image via shutterstock, Getty Images

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