意志力ではコントロールできないのが自律神経
『自律神経を整える 1分おまじない』(主婦の友社)の監修を手がけた里見英子先生(里見英子クリニック院長)は、生活習慣病や自律神経失調症など、現代病の予防医学に精通する内科医。自律神経の乱れは、頭痛やめまい、便秘や下痢の症状も引き起こすと語ります。
里見先生いわく、自律神経は「自分の意思ではコントロールできない神経」。交感神経と副交感神経からなる自律神経は、相互にバランスをとりながら、呼吸・心拍・血流・体温などを調節しています。
日中は交感神経が優位になり、夜は副交感神経が優位になれば、体調は良好。しかしストレス社会では緊張を強いられることが多く、交感神経が優位になりがちで、自律神経のバランスが崩れてしまうのです。
万能「爪もみ」の弱点。もんではいけない指は?
そこで里見先生がすすめるのが、自律神経を整える“おまじない”のような小さな技。朝、仕事中、就寝前、食事、休日の5つのシチュエーション別に、ほぼ1分でできるシンプルな方法が紹介されています。
仕事の合間に気軽にできそうなのは、「爪のはさみもみ」というおまじない。爪の両サイドを2本の指ではさみ、1日2回、1か所10~20秒ほどもみほぐすというものです。
手の爪の生え際は、神経線維が密集している部分です。爪の両サイドをはさみもみして刺激すると、それが自律神経の末端に伝わって、それぞれの指に対応している臓器のはたらきがよくなり、自律神経失調による不快症状が改善します。
(『自律神経を整える 1分おまじない』46ページより引用)
臓器との関係は以下の通りです。
・親指……肺や気管支などに関連。せき、ぜんそく、アトピー、円形脱毛症の予防・改善に。
・人差し指……胃腸などに対応。便秘、食欲不振、胃痛などに。
・中指……耳に対応。中耳炎、耳鳴りに効果的。
・小指……心臓や腎臓に対応。不眠、肩こり、生理痛、疲れ目、低血圧、高血圧を予防・改善する。
疲れたときなど、なんとなく手のしびれを感じて、無意識にあちこちもみほぐしていることがあります。ちょっと気をつけたいのは、「薬指はNG」ということ。薬指は交感神経に対応しているため、むやみに刺激するとリラックスできなくなってしまうようです。
寝つけない夜に試したい「顔かくし」
日本では5人に1人が悩んでいるともいわれる、不眠や入眠困難。交感神経の緊張が解けず、なかなか寝つけない夜に試してみたいのは、「顔かくし」というちょっと長めのおまじないです。
そんなときは、眉の上のツボを刺激した後、顔全体を手のひらでおおって呼吸をしましょう。この顔かくしは、吐いた息を再び吸うことで、体内の二酸化炭素濃度を上げることを目的にしています。二酸化炭素濃度が上がると、交感神経が抑えられ、自然と眠りに入っていけます。また、眉毛の上にある「陽白(ようはく)」というツボには、目の周辺の血流を促して眼精疲労やたるみなどを改善する効果があります。
(『自律神経を整える 1分おまじない』146ページより引用)
両手の小指側を合わせ、「陽白」に中指を当てて、3~5分ゆっくり鼻呼吸をしながら続けます。仕事がたまり気味で目が冴えてしまった夜に試してみたところ、意外と息苦しさもなく、手のあたたかみでほっとする感覚もあって、眠れない日のドキドキする感じがふっと消えていきました。
本書で紹介されるのは、どれも簡単なようでいて、東西医学の知恵が詰まった技ばかり。自分の意思ではコントロールできない自律神経だからこそ、おまじないのように何気なくできる方法が効いてくるようです。
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爪の両サイドの根元には、経絡の始点となるツボが多いのです。