「秋子」と呼ばれる秋のしいたけの旬は、9~11月。おいしいのはもちろん、実は生活習慣病の予防にも効果が期待できるほど、栄養価の高い食材なのだそう。管理栄養士の佐藤友香さんが、しいたけの効能や栄養価をアップさせる工夫を紹介してくれました。

不溶性食物繊維で腸の動きを活発に

しいたけに含まれる栄養成分のうち、注目したいのは「食物繊維」と「エリタデニン」。エリタデニンはあまり馴染みのない名称かもしれません。

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、しいたけに豊富なのは不溶性食物繊維です。胃や腸で水分を吸収してふくらむ性質があるので、しいたけを食べると腸が活発に動き、便秘の予防や改善に役立つと佐藤さんはいいます。

しいたけ特有の「エリタデニン」に注目

いっぽうエリタデニンは、生活習慣病の予防に役立つといわれる栄養素です。

しいたけのかさに含まれる「エリタデニン」には、悪玉コレステロールの低下や、血流をよくして血圧を低下するという効果があるとの研究結果も出てきています。

きのこの中でも、この成分はしいたけとマッシュルームにしか含まれず、さらにマッシュルームにはわずかしか含まれないため、しいたけ特有の魅力といえます。

(「Diet Plus」より引用)

しいたけのかさに、いわゆる“血液サラサラ”効果があるとは知りませんでした。おいしい旬の時期にたっぷり摂取して、生活習慣病予防エイジングケアに役立てたいですね。

「干す」だけでビタミンDがアップする

しいたけといえば、生しいたけを干した「干ししいたけ」もおなじみです。保存性が高く、料理の味わいに深みを増してくれる優秀食材ですが、栄養価という点でも大きなメリットがあるのだそう。

しいたけにはビタミンD・食物繊維・葉酸・カリウムなどが含まれますが、どの栄養素も生しいたけよりも干ししいたけの方が含有率が高いのです。

4つの栄養成分の含量を比較してみると、まずビタミンD量が、「生しいたけ」より「干ししいたけ」の方がUPしていることがわかります。これは、しいたけに豊富に含まれる「エルゴステロール」という成分が、紫外線にあたることで、ビタミンDに変化する性質をもつからなのです。

ビタミンDは、カルシウムの吸収率を高める働きがあるので、骨を丈夫にし骨粗鬆症を予防する効果が期待できます。

(「Diet Plus」より引用)

生しいたけは干すと水分が減り、栄養素が凝縮します。そのため、食物繊維、葉酸、カリウムなども効率よく摂取できるといいます。

意外に簡単。干ししいたけの作り方

干ししいたけには高価なものもありますが、実は家庭でも簡単に手作りできるとのこと。

1.石づき(軸の先の部分)を切り落とし、薄くスライスする(丸ごと干したい場合はそのままでOK)。
2.重ならないようにしながら、ヒダを上にして網またはザルの上に並べる。
3.天気のよい日に干す(直射日光があたり風通しのよい場所に)。

4.様子を見て、乾燥していたら半日でOK。まだだったら夜は室内の通気性のよいところに干し、翌日に再び外に干す。
5.密閉容器に乾燥剤をいれ保管する。

(「Diet Plus」より引用)

佐藤さんによると、きちんと乾燥していれば1~2か月は保存できるそう。使うときは市販品と同じように水で戻します。エリタデニンは水に溶けやすいため、戻した出汁も残さず使用するのがおすすめです。

料理によって「生しいたけ」と「干ししいたけ」を使い分けて、ぜひ毎日の健康に役立ててみてください。

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佐藤友香(さとう・ゆか)さん
1992年生まれ、福島県出身、東京都在住。1児の母。大学卒業と同時に管理栄養士の資格を取得後、保育園にて勤務。離乳食、乳幼児食、アレルギー食に携わり、栄養相談や食育活動も得意分野。現在はフリーランスとして栄養に関するコラム執筆を中心に活動。

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