SNSをスクロールしていると、Choose Happiness(幸せを選ぼう)とか、Good Vibes Only(良いバイブスだけ)などの猛攻撃にさらされます(こういうのが苦手なのは私だけ?)。
もっとも、投稿する人たちの多くは、Good Vibes Onlyポリシーを押し付けるつもりはなく、ただ、「世の中にあるネガティブなものすべて」に対抗するために、ポジティブな言葉を発信しているだけだということでしょう。
それはそれでOKです。でも、苦しい状況に置かれているときには、そうした言葉を見続けるのが苦痛になることもあります。
そして今、この2020年に、すべてが順調にいっている人が果たして存在するのでしょうか。もっとも、これはトキシック・ポジティビティ(有害なポジティブ)の問題のほんの一部にすぎません。
今回は、トキシック・ポジティビティの概念と、トキシック・ポジティビティに直面したときにどう対処すればいいかを解説します。
トキシック・ポジティビティとは?
トキシック・ポジティビティの定義には諸説があります。私が一番わかりやすいと思うのは、臨床心理学者のJaime Zuckerman博士が、Healthlineで説明しているこの定義です。
トキシック・ポジティビティとは、心の痛みを抱えていたり、困難な状況にあっても、ポジティブな考え方をするべき、または、私が大嫌いな言葉「ポジティブなバイブス」だけを発信するべきだ、という、自分、または他者による決めつけのことである。
Zuckerman博士は、トキシック・ポジティビティにはさまざまな形態があると言っています。
たとえば、友人や家族が、あなたが悲しそうな顔をしているという理由であなたを批判し、そのくせどうして悲しいのかは尋ねてくれない。「明るい面を見なさい」、「持っているものに感謝しなさい」と言ってくる。
さらに悪いと、「ポジティブでいれば、良いことがやってくる」などと言ってくることもあります(このほかにも無数のバリエーションがある)。
なぜトキシック・ポジティビティは有害なのか?
ポジティブな人やハッピーな人がみなトキシック・ポジティビティだというわけではありません。喜びや幸せを体験するのは純粋に素晴らしいことです。
問題は、他人に自分のポジティブさを押し付け、本人が経験している感情を否定するときに始まります。
同じHealthlineの記事のなかで、ボルチモアの心理療法士Carolyn Karoll氏がこのことを、わかりやすく説明しています。
「OK」そうに見せなければならないというプレッシャーのせいで、誰もがあたりまえに経験するはずの感情が否定されてしまいます。
またこのプレッシャーにより、苦しみや悲しみを感じているのは自分に欠陥があるからだ、という印象が与えられます。
それが内在化されると、自分は弱い、不完全である、というコアビリーフになります。
痛み、悲しみ、嫉妬などの感情は、人間の経験の一部であり、また、一過性のものでもあります。
こうした感情を抱いたという理由で自分を否定すると、それよりはるかに激しく、不適応な二次感情(たとえば恥の感情)を抱くことになります。
二次感情を抱えていると、目の前の問題に集中することができなくなり、心の健康に不可欠であるセルフ・コンパッション(自分への思いやり)を感じる余裕がなくなってしまいます。
たしかに、悲しんでいる人、落ち込んでいる人、幸せそうじゃない人を見ると、落ち着かない気分になります。
ですが、あなたの気分を良くするために幸せな顔をする義務など、誰にもありません。
繰り返しになりますが、ポジティブな人は、自分の状況が順調であるがゆえに、他者の手助けをしたいと思うだけなのかもしれません。ですが、そのやり方ではうまくいかないのです。
トキシック・ポジティビティへの対処法
以下にトキシック・ポジティビティを避ける方法を紹介します。これは、押し付けている側、押し付けられている側、双方に対して有効です。
Image: Shutterstock
Source: Carolyn Karoll, Healthline, Jaime Zuckerman
Elizabeth Yuko - Lifehacker US[原文]
訳:伊藤貴之
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