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乳がんの早期発見のためにすべきこと。検診は「不要不急」ではない/ピンクリボン強化月間

2020/10/09 18:00 投稿

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自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。10月はピンクリボン強化月間につき、「乳がんのセルフチェック」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

日本女性の乳がんは9人に1人に!

10月は「ピンクリボン強化月間」。例年なら、乳がんの啓発イベントがあちこちで行われていますが、今年はコロナ禍で多くが中止になっています。

しかし、乳がん検診は「不要不急」ではありません

コロナ禍で、今年のがん検診受診者は例年の3割以上減っているというデータもあります。そうなると、発見できるがんは、数千人も減ってしまうといわれています (※1) 。救える命も救えなくなってしまうのです。

さらにショッキングなことに、今年更新された乳がんのデータでは、日本女性の9人に1人が乳がんにかかると発表されました (※2) 。昨年は、11人に1人と言われていたのに……。乳がんは女性の罹患数では最も多いがんで、かかる人は増え続けています。

※1 公益社団法人日本対がん協会
※2 国立がん研究センター がん情報サービス

正しい乳房のセルフチェック法とは?

そこで、ピンクリボン強化月間でもある今、あらためて知ってほしいのが「乳房のセルフチェック法」です。20歳以上の女性は、ぜひ行ってください。

乳房のセルフチェックは、月1回、生理が終わって2~3日目に行うのがおすすめです。生理前・生理中の乳房の張りがおさまり、やわらかくて安定している時期だからです。

閉経などで生理がない人は、毎月1日や自分の誕生日といった忘れにくい日に行うと決めるといいでしょう。

1. まず、鏡の前で

イラスト/螢子

・鏡の前で、両腕を下げて力を抜いた状態で左右の乳房の形や大きさに変化はないか、皮膚にへこみやひきつれはないかを見る。
両腕を上げて、乳房や脇の下、鎖骨周辺にしこりはないかをチェック。

2. お風呂でボディーソープをつけながら

イラスト/螢子

「の」の字を描きながら、乳房全体、鎖骨や脇の下周辺にしこりはないか、皮膚にへこみやひきつれはないかをチェック。
乳首にただれやへこみはないか、乳首をやさしくつまんで分泌物が出ないかを確認。

石鹸やボディーソープ、ジェルなどをつけてさわると、乳房の凹凸がよくわかります。指の腹でクルクルと、クリームを塗りこむような感じで、乳房全体はもちろん、リンパのある脇の下、鎖骨周辺も丁寧にさわります。

さわり方は、4本の指の腹で「の」の字を描くように。乳房の真ん中、乳首から、らせん状に移動していきます

指でつまむようするのはNG。しこりを発見しづらくなります。

3. あお向けで寝た姿勢でも

・寝る前に、あお向けの姿勢で、あまり高くない枕か、折ったタオルを背中の下に入れ、チェックするほうの腕を上げて、脇の下も忘れずに確認

入浴時だけでなく、ベッドの上であお向けに寝てさわると、起きた姿勢では発見できないしこりに気づけます。

セルフチェックは、毎月行うことで、前の月との違いがないかを確認することが大切です。「いつもと違う」と感じたら、乳腺外科を受診しましょう。

乳がん検診やセルフチェックの情報、近くの医療機関検索は、こちらのサイトでわかりやすく取り上げています。参考にしてみてください。

20代、30代の乳がん、どんなことに注意すればいいの?

小林麻央さんが乳がんで亡くなったことで、不安になるアラサー世代の女性が多くいました。乳がんに関しては、さまざまな情報があふれています。正しい知識を得て、冷静に行動してほしいと思います。

どんな人がかかりやすく、何に注意すべきかというと、まず、知ってほしいのは、35歳未満の乳がんは、乳がん全体の2.7%しかないことです (※3) 。非常に少ない数です。

34歳以下の乳がんのことを「若年性乳がん」といいます。乳がんは、先ほど紹介したように、日本でかかる人が最も多いがんで、罹患者数、死亡者数も増加し続けています。けれども若年性乳がんは、40代、50代の乳がんと比べて決して多くないのです。

乳がんは、圧倒的に40代〜60代女性がかかる率が高いがんです。今年、日本女性の9人に1人が乳がんになると発表されましたが、これは欧米女性に近づく罹患率で、その数は年々増加しています。

しかし、20代、30代で乳がんにかかるリスクは決して高くありません。必要以上に心配する必要はありません。

※3 厚生労働省 若年性乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラムより

20代30代で乳がんに注意すべきは、どんな人?

34歳以下の若い世代で、乳がんに気をつけたいハイリスクの人は、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいる場合です。

若年性乳がんは「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と関係しているといわれています。女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが告白したことでも有名です。

ただし、遺伝性の乳がんは、乳がんや卵巣がんにかかった方、全体の約1割以下です。多い数字ではありません。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)については、こちらが参考になります。

もしも、血縁(母、姉妹、祖母、叔母、いとこ)に乳がん、卵巣がんの方がいらして心配な場合は、20代、30代でも、乳腺外科専門医を受診して相談してみてください。

若い世代の若年性乳がんについては、「厚生労働省 若年乳がん患者のサバイバーシップ支援プログラム」や若年性乳がん体験者の会「Pink Ring」でも詳しく紹介されています。

20代30代の乳がん検診はどうすれば?

20代、30代は、自治体などの乳がん検診(対策型検診)はありません。

もしも20代、30代で、乳房にしこりなどの症状を感じたら、乳腺専門医がいる乳腺外科、外科(乳腺専門)を受診することが大切です。多くの産婦人科は、乳腺は専門ではありませんので、間違えないようにしてください。

症状がある場合は、検診ではなく「診療」になりますので、健康保険が使えます。

乳房に気になる症状がなくて、血縁に乳がんや卵巣がんの方がいなければ、必要以上に心配しなくて大丈夫です。マンモグラフィなどの乳がん検診を受ける必要はありません。

20代、30代は、先ほど紹介した乳房のセルフチェックを月1回、生理終了から2~3日後に毎月、行うほうが有効です。

40歳からはマンモグラフィの乳がん検診を2年に1回

しかし、40歳以降は、乳がんも卵巣がんも、遺伝性でないがんのほうが多いのです。いわゆる乳がん好発期に入ります。血縁に乳がんや卵巣がんの人がいないからと言って、乳がんになりにくい、ということではありません。

40歳以降は、症状がなくても、早期発見のために、マンモグラフィによる乳がん検診は2年に1回、定期的に受けてください。

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乳がん経験者が語る。がんを告知されたら…そのときにすべきこと

増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ

image via Shutterstock , Getty Images

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