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子宮をあたためると生理痛は軽くなる? 女性の「健康都市伝説」を宋美玄さんが論破

2020/09/30 18:00 投稿

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毎月の生理に、妊娠出産。女性のカラダには多くの痛みがつきものですが、「多少の我慢は仕方ない」という認識は、今も根強く残っています。

しかし、それは単なる思い込み。ほんとうは、痛みも不快も我慢しなくていい──そう教えてくれるのが、産婦人科専門医である宋美玄(そん・みひょん)先生の著書『医者が教える 女体大全:オトナ女子の不調に効く! 自分のカラダの「取扱説明書」』(ダイヤモンド社)。女性をまどわせる多くの「都市伝説」についても、鮮やかに一刀両断してくれる快著です。

医者が教える 女体大全――オトナ女子の不調に効く! 自分のカラダの「取扱説明書」

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「子宮をあたためる」と生理痛は軽くなる?

本書で宋先生が取り上げるのは、生理、ホルモン、妊活、子宮、そして女性の性器について。「女体(女性のカラダ)」にまつわるよくある疑問にQ&A形式で答えつつ、医学的に正しい新常識を分かりやすく解説してくれています。

たとえば、ちまたでよく聞く「生理痛は子宮をあたためると軽くなる」という説。宋先生によると、じつは「子宮をあたためる」というイメージ自体が出所不明で、そもそも臓器は「冷える」ものではないのだとか。

身体の構造でいうと、子宮はもっとも中心部にあります。外気の影響を受けないうえに、周辺を太い血管が何本も通り、そこにはあたたかな血液が流れています。「心臓や肺の冷え」を心配したことがないのに、もっと中心にある子宮の冷えだけを心配するのというのは、ちょっとおかしいですね。

(『医者が教える 女体大全』28ページより引用)

痛いときの温活は気持ちを和らげてくれるけれど、根本的な解決にはならないと宋先生。人体でもっとも冷えにくい場所にあるのが子宮だという指摘には、はっとさせられました。

一番の対策は「痛くなる前」の鎮痛剤

それでは、生理痛がつらいときはどうしたらよいのでしょうか。宋先生のアンサーはとても明快。「痛くなる前に」鎮痛剤を飲むことです。

鎮痛剤には、痛みのもととなる物質の生成をおさえる成分が含まれています。だからこそ、痛くなるのが分かっていたら、その前に飲むのです。「あ~、痛くなってきた」と思ってから鎮痛剤に手を伸ばすのでは、すでに(痛みのもとである)プロスタグランジンは分泌されています。痛みを感じる時間はできるだけ短くしましょう。

(『医者が教える 女体大全』30~31ページより引用)

鎮痛剤というと、飲み続けるのは身体によくない、だんだん効かなくなるといったイメージがあります。

しかし、それらはすべて間違い。医師や薬剤師の説明や、市販薬の説明書などに書いてある範囲内であれば、1日に何度飲んでも大丈夫なのだそう。

そしてもうひとつ大切なのは、痛みが続くようなら我慢せずに婦人科で診てもらうこと。生理にともなう痛みや不調は、「月経困難症」と呼ばれる症状のひとつで、すべて治療の対象になっています。

子宮内膜症という病気のサインかもしれないため、「たかが生理痛」と軽視したり、民間療法で乗り切ろうとしたりするのは危険です。

「紙ナプキンは子宮を冷やす」はウソ

宋先生が警鐘を鳴らす「生理にまつわる迷信」は、これだけではありません。「使い捨ての紙ナプキンは子宮を冷やすから、布ナプキンを使うべき」という説もそのひとつです。

布ナプキンは確かに、デリケートゾーンに触れた瞬間はあたたかく感じます。ですが、経血を吸収して濡れるとむしろデリケートゾーンを冷やします。(中略)紙ナプキンは内部の吸収体が経血を閉じ込めて逃しません。

(『医者が教える 女体大全』29ページより引用)

また、「昔の女性は経血をコントロールできていた」というのも迷信。人体の仕組みからして経血は流れ出るのが自然であり、自分の意思で「溜めて、出す」ことができたら、それはもう“びっくり人間”のレベルですごいとのこと。

経血が多くて困っているなら、子宮筋腫の可能性もあります。月経血コントロールや骨盤底筋のトレーニングに励むよりも、医師の適切な診断を受けるべきなのです。

生理やホルモンを「女の宿命」とあきらめないで

こうした生理にまつわる都市伝説は、基本的に「いまあるつらさをどうにかしたい」という願いから生まれたものだろうと、宋先生は語ります。

生理は病気ではないのだから、痛みは我慢するのが当たり前。病院に行くと「たかが生理で来たの?」といわれるかもしれない。でもつらい、なにかいい方法があるはずだ……。

そんな切実な思いから、医学的な根拠がなくても「いい」といわれる方法を試したり、ひたむきに努力したりしてしまう。その背景には、女性が女性特有のつらさを訴えることを“甘え”と責めて自己責任の問題にする、これまでの社会の在り方そのものが関わっていると感じます。

恋愛しないと女性ホルモンが枯渇する、仕事をしすぎたら「オス化」するといった言説も、都市伝説にすぎないと宋先生。婦人科医の視点から、女性を縛る呪いを次々に論破していく語り口は、痛快というほかありません。

人生100年時代、生理やホルモンに振り回されるのが「女の宿命」と思わずに、こちらからコントロールしてやりましょう。

(『医者が教える 女体大全』204ページより引用)

そんな宋先生の言葉に、励まされる人は多いはず。令和の時代を自分らしく、心地よく生きていくために、ぜひ手元に置いてほしい一冊です。

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