ヒントをくれたのは、素材を活かしたシンプルで美しい料理の達人、有元葉子さんの著書『レシピ以前に知っておきたい 今さら聞けない料理のこつ』(大和書房)です。
¥1,650
85の「素朴な疑問」に有元さんがアンサー
本書の目次にずらりと並ぶのは、料理にまつわる85のクエスチョン。「味つけに自信がありません」「油揚げの油抜きは、必ずしたほうがよいですか?」など、有元さんがよく聞かれるという“ 素朴な疑問”がたくさん取り上げられています。
旬の食材の選び方や、しんなりした野菜をシャキッとさせる下処理、味つけの勘どころ、後片づけを効率よく行うコツまで、長年料理と向き合ってきた有元さんならではの発見が満載。「これ、私も気になってた!」と楽しく読み進めるだけで、いつの間にか料理の基本が頭に入ってしまうという、とてもおトクな一冊なのです。
料理の手際が悪くて自己嫌悪。どうしたらいい?
たとえば、「夕食のしたくで、いつもあたふたしてしまいます」という質問への回答は、「時間や手間のかかる原因を考えて、日々解決策を立てる」こと。問題はキッチンの導線にあるのかもしれないし、よく使う道具をひと手間で出せないところに置いているせいかもしれません。
有元さん自身は、煮たり焼いたりよりも食材の下ごしらえが、じつはいちばん手間がかかると考えているそう。 時間をみつけて前もって野菜の下ごしらえをしておくと、夕食の準備がぐっとラクになるといいます。
小松菜を洗って冷水に浸けてシャキッとさせ、葉と茎とに切り分けて冷蔵庫に入れておけば、帰宅後は油をひいた鍋で油揚げを炒め、小松菜を加えて炒めればいいわけです。「疲れたから料理をしたくない」なんて言っている暇もなく、おいしい野菜のおかずができます。
(『レシピ以前に知っておきたい 今さら聞けない料理のこつ』6ページより引用)
夕食時は体力が落ちてきているせいか、葉野菜を洗ったり、根菜の皮をむいたりといった作業が地味につらく感じます。下処理済みの野菜があれば、作り置きをしなくても、慌てずにさっとごはんが用意できそうです。
忙しい朝、5分でバランスのよい朝食を作るには?
夕食づくりも大変ですが、忙しい朝にどんなものを食べるか、というのも悩みどころですよね。
意外なことに有元さんは、朝があまり得意ではないとのこと。だからといって「朝食を食べない」のではなく、野菜・タンパク質・炭水化物がそろったバランスのよい朝食を摂ることで、頭や体にスイッチをいれています。有元さんのリアルな朝ごはんとして紹介されていたのは、食材をすべて一緒に蒸すという大胆なワンプレートメニューです。
鍋に底から3~4cm水を入れ、鍋よりひと回り小さなざるを中に入れて、ふたをして火にかけ沸騰させます。次に、鍋に入る口径のざるや平皿などに、卵、ソーセージ、冷凍しておいたパン、ブロッコリーやズッキーニやトマトなどそのときにある野菜をのせます。これを蒸気の上がった鍋のざるの上にのせ、ふたをして5分蒸します。
5分後、ふたを開けてみると──パンはふっくらとし、野菜にはほどよく火が通っています。そして卵は白身は固まっていて黄身がとろりとした、ベストな状態になっているのです。
(『レシピ以前に知っておきたい 今さら聞けない料理のこつ』227ページより引用)
野菜だけではなく、パン、ソーセージ、卵まで同時に蒸してしまうという時短アイデアには驚き。卵をよく洗って試してみたところ、初挑戦の「蒸し卵」は本当においしく、調理に油を使わないのでヘルシーに食べることができました。
「料理のモヤモヤ」をスッキリ解決
料理をしていると「あれ、これはどうするんだっけ?」とたくさんの疑問が浮かびます。いちいち調べる余裕もなくスルーしていましたが、その積み重ねがモヤモヤになって、自信のなさにつながっていたのかもしれません。
考えてみると、こんな素朴な疑問に有元さんがひとつひとつ答えてくれるなんて贅沢なこと。「旬の素材を段取りよく下ごしらえして、味つけはシンプルに」という基本を大切に、これからも少しずつ、楽しみながら料理と親しんでいけたらと思います。
料理を楽しもう!
間食にも! 10分常備菜「かぼちゃと豚ひき肉のヨーグルト炒め」
image via Shutterstock
コメント
コメントを書く