こんなとき、「自律神経がダウンしている」なんていう言い方をよくしますが、手軽に自分でできる健康法があれば、ぜひ知りたいものです。
小林弘幸さん著『自律神経を整える「長生き呼吸法」』(アスコム)には、自律神経を整えて、免疫機能を高める簡単な呼吸法が紹介されています。
1,430円
心身安定のために深い呼吸をする
著者である小林先生は、順天堂大学医学部教授であり、日本体育協会公認のスポーツドクターです。それだけではなく、自律神経研究の第一人者ともいわれていて、プロスポーツ選手や文化人へのコンディショニング・パフォーマンス向上指導にも関わってきました。
近年では、たくさんのメディアにも出演しています。「腸のスペシャリスト」として、味噌をはじめとした腸内環境を整える食材や、腸内環境を整えるストレッチなどを提案。
著書の『医者が考案した「長生きみそ汁」』は、大変話題になりました。 その小林先生が、 今回は「長生きみそ汁」とあわせて行うとより効果的な、一日一分でできるという「長生き呼吸法」をすすめています。
ゆっくりと深い呼吸をして、自律神経のバランスを整えれば、全身の免疫力を高めることにもつながるのです。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』14ページより引用
ストレスが強い現代社会では、多くの人が交感神経優位の生活を送っているといえるでしょう。
不安や緊張、怒りなどといった負の感情を抱えていると、交感神経が優位になって、副交感神経の働きが低下してしまうのだといいます。
すると、つい速くて浅い呼吸になってしまいがちに。そんな呼吸を日常的に続けていると、脳に運ばれる酸素量が減って、ついネガティブな考え方に陥ってしまいます。
ゆっくりとした深い呼吸は、自律神経を整えて心身を安定させ、全身の免疫機能を高めることにつながるようです。
自律神経と健康との深い関係性とは
自律神経が関わる機能には、呼吸だけではなく脈拍や血流(心臓)、消化や吸収(腸)など、さまざまなものがあります。しかし、人間が自分で意識して働きかけることができるものは呼吸だけです。
正しい呼吸をすることは、自律神経を整えることにつながります。そして、自律神経の状態と血流や腸には、とても密接な関係があると小林先生は語っています。
自律神経のバランスが整えば、酸素と栄養たっぷりの血液を全身に送り届けることができます。また、腸は自律神経の影響を大きく受ける部位です。自律神経のバランスが整えば、腸の働きが活発になり、腸内環境を良好に保つことができます。
『自律神経を整える「長生き呼吸法」』11ページより引用
人体には2兆もの免疫細胞が存在していて、体内に侵入したウイルスなどを退治してくれています。実は、その免疫細胞の約7割は、腸に集中しているのだとか。腸内環境が悪いと、全身の免疫細胞が衰えてしまうといっても過言ではありません。
ゆっくりと息を吸い込んで深く吐くと、副交感神経が高まって自律神経が整う。すると、腸内環境がよくなって、免疫機能が高まります。血流がよくなることで全身の細胞は元気に生まれ変わり、腸にある免疫細胞の力を借りながら、不調を遠ざけることが可能になるのです。
このように、自律神経は全身の機能に大きな影響を与えているといえるでしょう。
長生き呼吸法のやり方
そうは言っても、難しかったり手間がかかったりする健康法は長続きしないものです。
「長生き呼吸法」とは、いったいどんなやり方をするのでしょうか。
まずは、基本の姿勢を覚えよう!
◎脚を肩幅に開く
◎まっすぐに立つ
◎肩の力を抜く
◎両手はお腹の横に『自律神経を整える「長生き呼吸法」』27ページより引用
最初に、姿勢を整えることから始めます。ポイントは両手の位置。ろっ骨の下を掴むようなイメージでお腹の横に手を当てます。呼吸をしながら同時に腸をマッサージすることで、自律神経と腸内環境を同時に整えていくのだと小林先生はいいます。
上体を前に倒しながら、ゆっくり、ゆっくり息を吐く。(6秒口から吐く、吐きながら腸をマッサージ) 背中を反らしながら、ゆっくり息を吸う。(3秒鼻から吸う、吸いながら手をゆるめる)たったこれだけのことを一日一分実践するだけで、肺活と腸活の両方を行うことができるというのだから驚きです。
ポイントは、口呼吸から鼻呼吸に変えること。人間の鼻の気道では、一酸化窒素が大量に作られていて、鼻呼吸をすることで空気と一緒に一酸化窒素が肺に送られます。一酸化窒素には、酸素を血流に取り込む量を増やしてくれるいい働きがあるのだとか。
一日一回、一分間の深い呼吸で、自律神経をしっかり整えていきましょう。まだまだ緊張感のある日々が続きそうですが、免疫機能を上げる習慣を身につけていきたいものですね。
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