摂取量が減っているタンパク質。戦争直後と同じ!
30代以降は、毎年1%ずつ減少していくと言われている私たちの筋肉。女性ホルモンが減少する40代から女性の筋肉量は、一気に急降下します。更年期は、筋肉老化の曲がり角。筋肉維持のために、タンパク質摂取と筋トレが不可欠です。
筋肉の質と量に大きくかかわるのが、タンパク質。
私たちの体は、水分を除く、固形物の約半分がタンパク質でできています。肌や髪、筋肉、骨、内臓、白血球、赤血球、ホルモンなどは、タンパク質なのです。
それなのに今、日本人はタンパク質不足です。1970年代~1990年代の摂取量は、1日80g前後でした。日本人の平均寿命が世界一になったのはその頃です。
けれども2017年には1日69.4gしか摂っておらず、戦争直後と同レベルになっています。
その理由は、健康志向、やせ志向の高まりで肉類を避ける傾向や、炭水化物豊富なインスタント食品の普及が考えられます。
体重50kgなら、1日約60gのタンパク質が必要
筋肉は24時間、常に分解と合成が行われています。材料となるタンパク質がなければ、いくら筋トレをしても、筋肉の合成は進みません。
筋肉を維持するのに、最低限必要なタンパク質は、体重1㎏に対して1日1.2g。体重50kgなら1日60gが必要となる計算です。
タンパク質は、摂り貯めができません。だから、朝、昼、夕に分けて摂ることが必要になってきます。
とりわけ、朝食は重要です。夕食後から、タンパク質を長時間摂取していないため、朝食で補給しないと、筋肉の分解ばかりが進み、確実に筋肉がやせ細っていきます。
若いときより、タンパク質の摂取を増やさないと筋肉は減る一方
仮に、同じ量のタンパク質を摂っていたとしても、30代よりも60代では、筋タンパク質の合成反応が低くなります。
また、50歳前後からは、消化酵素の活性が急激に減少します。つまり、更年期になったら、若いときよりも、タンパク質を多く摂取しなければ、筋肉を増やすのが難しいのです。
筋肉ロス(消失)に、歯止めが効かなくなる可能性があります。
特に、65歳以降はタンパク質摂取量が低いと、フレイル(要介護手前の虚弱)リスクが増加するというデータがあるほど。
更年期世代からは、タンパク質を含めた栄養の摂り方を再考する転換期となります。
ぽっこりお腹を解消したいなら、食事制限はナンセンス
「ぽっこりお腹をなんとかしたい! ダイエット中はタンパク質を摂るのが難しい」と考えがちです。
しかし、下腹部のたるみを解消したいとき、多くの人は体重を減らせばいいと考えがちですが、それは間違いです。
ぽっこりお腹の原因は、内臓まわりの筋肉の衰えです。つまり、ぽっこりお腹解消には、体重を減らしやせることではなく、内臓をしっかり支える強い筋肉を持つことです。
プヨプヨの二の腕や垂れたお尻も同じ。筋肉は、それ自体にボディラインを引き締める力があり、自前のコルセットです。
筋肉の効用は、それだけではありません。体内で、糖と脂肪を最も大量に燃やしてくれるのが筋肉です。
たとえば、全身で使われている糖の70%は、筋肉で燃やされます。筋肉をうまく使えば、燃えやすい体になってやせられます。
筋肉の効用が明らかに! 今つけておけば老後の貯金になる
今、筋肉の効用が次々と明らかになっています。
最近の研究で、運動をすれば、たとえ70歳以上の高齢者でも脳の海馬が大きくなり、記憶力がよくなるというのです。
また、筋トレをすると、認知症やうつ抑制効果がある脳の栄養成分BDNFが生成されます。
さらにインスリン様成長因子IGF-1という筋肉の成長を促す物質も、脳内に生成されます。アルツハイマー型認知症の原因となる脳内のアミロイドβを減少させる作用もあります。
つまり、筋肉をつければ、脳、骨、メンタル、糖代謝、免疫…が好循環するのです。だからこそ、筋肉の材料=タンパク質を十分摂る必要があるわけです。
筋肉があれば、体重計は気にしないで済む
もう体重計は気にしない! 体重が減れば、必ずしも体脂肪が減るわけありません。
たとえば、糖質制限ダイエットで、短期間で体重が減っても、減っているのは水分と大事な筋肉です。むしろ、筋肉が減って、相対的に体脂肪が増え、ブヨブヨした体に。筋肉を鍛えれば、糖質はある程度摂っても燃えるから、大丈夫と言われています。
筋肉がある基礎代謝の高い人は、食事で得た栄養素が常に燃やされてエネルギーとして使われます。だから、食べても太らないのです。
毎食20gのタンパク質が不可欠
タンパク質は、摂り貯めができません。ですから3食バランスよく摂ることが大切になります。
さらに、筋肉の分解を進めないために、炭水化物も必要な栄養素です。タンパク質、炭水化物、脂質のバランスを考えた食事が筋肉を育てます。
筋肉を維持するのに最低限必要なタンパク質は、1日あたり体重1kgに対して1.2gです。
体重50kgなら1日60g摂る必要があります。しかも、タンパク質は、摂り貯めができないので、朝昼夕の3回に分けて最低20gずつが必要と言われています。それに炭水化物も大切。
炭水化物制限をすると、脳の糖分が足りなくなります。人が摂取する炭水化物の2割は、脳で使われ、脳だけで1日約400kcalを使います。
飢餓状態を除いて、脳がエネルギーとして使うのは、基本的に炭水化物だけです。しかし炭水化物ダイエットをして、さらにタンパク質も足りないとなったら脳は、一部のタンパク質をエネルギーとして調達します。
それでも足りないと、脳は自分の筋肉を分解し始めます。自分の筋肉を自分で使ってしまうのです。脳は、最後まで守らなくてはならない器官だからです。
やせていても隠れ肥満が多いのは、炭水化物を摂らないのに、タンパク質の摂取も少ないからです。そうするとダブルで筋肉が減っていきます。糖質はむしろ、筋肉の分解を抑えるのに欠かせないのです。
筋肉を育てる食事の黄金バランスは60:20:20
日本人は、タンパク質が圧倒的に足りていないと言われています。タンパク質不足の日本人の食事の黄金バランスは、炭水化物60%、タンパク質20%、脂質20%。これを3食摂って筋トレを続ければ、筋肉を効率的に育てられます。
代表的な食材のタンパク質量は、卵1個6g、納豆1パック8g、鶏むね肉100gで24g。毎食20gの摂取は、かなり努力が必要な量です。
特に、朝と昼の食事が重要。くり返しますが、タンパク質は、摂り貯めができません。タンパク質と炭水化物は24時間以内に消費されるため、朝は、誰もが低血糖状態。朝、炭水化物とタンパク質を摂らないと、どんなに筋トレしても筋肉は減っていくのです。
参考文献/『おサボリ筋トレ』森谷敏夫(京都大学名誉教授)著(毎日新聞出版)
1,485円
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増田美加・女性医療ジャーナリスト
予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ :http://office-mikamasuda.com/
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女性らしい身体になりたいのに、何にも鍛える事をしなくてもムッキムキの背中に鬼が住んでいるまんまなのをどうにかする方法を教えてよ♪