でもほとんどの場合、胃腸の痛みは(確かに不快ですが)自宅で対処できる単純な症状です。では、実際にどうすればよいかというと、それは症状と原因次第。次に、すぐに具合がよくなる、医師おすすめの方法をご紹介します。
ストレスのせいで胃腸が痛い場合
治療法:散歩をする
初デートや、仕事で大きなプレゼンをしなくてはならないときなど、緊張するイベントの前に胃腸の具合が悪くなるのはよくあります。
シカゴ大学医学部の助教で消化器科医師のビジャヤ・ラオさんによると、「胃腸と脳の関係はとても強いのです。ストレスを受けると、消化管内の神経が過敏になり、けいれんや吐き気が起こることがあります」。
簡単ではないかもしれませんが、いちばんの治療法は落ち着くこと。ラオさんのおすすめは、散歩に行く、友だちと話す、深呼吸するなどです。
便秘になっている場合
治療法:硫酸マグネシウムのお湯に浸かる
下腹が痛い原因は、便秘にありそう。慢性の便秘に悩まされている人は、マグネシウムのサプリメントに頼りますが、局所療法も同じくらい効果があるかも。お風呂に硫酸マグネシウムを1.5カップ入れると、気分だけでなく固くなったお腹もリラックスします、と栄養と健康のコンサルティング会社「マーペ・ニュートリション」の栄養士、ルイザ・サカーチさん。
もうひとつの方法は、湿らせた硫酸マグネシウムを直接、お腹にこすりつけるもの。ニューヨーク州コーネル大学の医療機関コーネル・ヘルスによると、硫酸マグネシウムは浸透圧性の便秘薬になり、腸に液体を引き入れて、便を押し出すのに役立ってくれるのです。
ポリエチレングリコールも試す価値が。「大腸に水分を引き込む粉薬です。用量の調整が簡単で、とても安全」(ラオさん)
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けいれんがある場合
このような温熱パッドも、胃腸の血流を良くして、けいれんをなだめてくれます。治療法:温熱パッドとペパーミントティーでリラックス
ペパーミントは、胃腸をリラックスさせて、けいれんを止める役に立ちます、と言うラオさんのおすすめは、「IBGard」などのペパーミントオイルか、ペパーミントティーを飲むこと。ティーバッグでもいいですし、お湯にフレッシュミントの葉を入れてもOK。
もうひとつ、試す価値のある方法は、温熱パッド。ビバリーヒルズに「ジュバート・フィジカル・セラピー」診療所を開いている物理療法士のカレン・ジュバートさんは、20分くらいお腹を温めるようすすめます。胃腸に血液がよく流れるようになって、けいれんを起こしている筋肉がリラックスする助けになります。
ヒント:温熱パッドがなかったら、タオルで代用。2枚のタオルを濡らして絞り、一方を電子レンジで温めて(「強」で2分)ビニール袋に入れます(熱くなっているので、気をつけて)。もう一方の濡れタオルでビニール袋を巻けば、自家製の温熱パッドに。20分間お腹に当てて。
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吐き気がする場合
治療法:ショウガを噛む
ショウガは吐き気の薬として長い間使われてきただけでなく、科学的な研究でも効果が証明されています。キャンディやティーバッグ、カプセルなど、さまざまな形で手に入りますが、ラオさんによると、やっぱり生のショウガがベスト。
「お茶やカプセルは、本物のショウガがどれくらい入っているのかわかりませんから」(ついでながら、市販のジンジャーエールはショウガが入っていないものがほとんどです)
ラオさんのおすすめは、新鮮な生のショウガを小さくカットして、少しの間噛むこと。または、少量を熱いお湯に入れて、自家製のお茶を作ります(ソカッチさん)。潰したショウガをスムージーに入れても。
胸焼け、ガスがたまる場合
治療法:適切な薬を服用する
市販薬はたくさんありますが、すべてが即効性があるというわけではありません。不快感に襲われたときのための常備薬になる薬も。
必要に応じて飲むと、食べた物の周りに保護膜を作ってくれたり、お腹が張って、ガスがたまっているときに、小さなガス泡がくっついてひとつになるのを助け、外に出やすくしてくれたりします。
下痢をしている場合
治療法:液体を少しずつ飲む
「下痢はたいてい病原微生物が原因ですから、そうした病原体を身体の外に出す必要があり、液体をたくさん飲むと効果的」とラオさん。水分をたっぷり取れば、下痢につきものの脱水症状も避けられます。
水だけでなく、少量の砂糖か塩を含む液体も、下痢のせいで身体から失われたブドウ糖とミネラルの補充になるので有益。スポーツドリンクの「ゲータレード」もよいですが、水1リットルに砂糖小さじ1杯と塩ひとつまみを入れれば、自家製ドリンクに。
胃痛・腹痛の原因がはっきりしない場合
仰向けに寝て膝を胸の方に引き寄せ(上の写真のように)、身体を前後にそっと揺らすと、お腹の痛みが和らぎます。治療法:自分でマッサージする
「ちょっとしたやさしいケアがとても役立ちます。痛む部分に片手を置き、もう一方の手を重ねます。軽く押しながら、円を描くように10〜20回動かして。その部分に息を吸い込むようなつもりで、鼻から1-2-3と息を吸い、1-2-3と息を止めて、口から1-2-3-4で吐き出します。体内の酸素の量が増えると血流がよくなり、痛みを和らげる助けに」とジュバートさん。
それで効果がなかったら、ジュバートさんのおすすめはこんな姿勢をとってみること。「仰向けに寝て、足が心臓より高くなるようにひざを胸の方に引き寄せ、呼吸に集中しながら10〜20回身体をそっと揺らします」
ここにご紹介した方法がどれも効かなかったら、あるいは1か月に何回もお腹が痛くなるようであれば、医師の診察を受けましょう。治療が必要な消化器系の病気かもしれませんし、食事を改善する必要があるのかも。食物繊維が足りない、食べ物が合わないという原因も考えられます。
──この記事は、2018年7月3日の記事を再編集して掲載しています。
胃腸を強くする方法
翻訳/STELLA MEDIX Ltd.、image via shutterstock