『慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割』(PHP研究所)の監修者である東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 赤石定典さん、島本友希子さんに聞く新型栄養失調について。前編に続き後編では、具体的な食べ方をご紹介します。
ビタミン、ミネラルの種類をおさらい
ビタミンは13種類あり、水溶性(B群とC)と脂溶性(A、D、E、K)に分かれ、働きも異なります。
「抗酸化ビタミン」と呼ばれるビタミンA・C・E。エネルギー代謝を担うB群、骨や歯の健康に欠かせないD、K、血行を促進するEなど。これらは体内で作ることができず、食物から摂らなければならない必須の栄養素。
ミネラルも代表的なものは13種類あり、骨や血液など、身体を構成したり、酵素の働きを助ける、水分調節、細胞の酸化防止などを行う成分となります。鉄分、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、リン、亜鉛などが代表的なミネラルです。
これらの栄養素は不足すると代謝が低下したり、消化力が弱まるなど、微細な調整機能の不調をきたします。何をどのように食べれば不足を補えるのでしょうか。
栄養素は単体よりも組み合わせで吸収率をアップ
赤石さん :
食事で摂った栄養は、ほとんどが小腸で吸収され、血液を通じて必要な箇所へ送られます。しかし、単体で摂るよりも栄養素を組み合わせることで、その吸収力が高まるのです。
前編でもご紹介しましたが、カルシウムはビタミンDとビタミンKと一緒に摂ることで、しっかり骨まで届き、定着することができます。
また、水溶性ビタミンは体内に水分があるため食べるだけで吸収されますが、脂溶性ビタミンは油と一緒に摂らないと、吸収率はたったの1割。
たとえば野菜スティックのにんじんを、カロリーを気にしてマヨネーズをつけずに食べると、せっかくの栄養があまり吸収されないことになります。オイル系のドレッシングをかけたり、油で炒めることで吸収率が上がります。
島本さん :
女性に多い貧血に鉄分は不可欠です。鉄分には動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄がありますが、非ヘム鉄は単体では吸収率が悪く、ビタミンCやタンパク質と一緒に摂ることで吸収率を上げることができます。
大豆や切り干し大根、ほうれん草などに含まれます。レモンやかぼすを絞ったり、柑橘系の果物をデザートに加えるという方法があります。
せっかくいただく栄養素。できれば無駄なく体に届けたいですよね。
調理法にもコツがあり
栄養素は食材の細胞内に入っています。そのため、細胞が壊れにくい食材の栄養素は、吸収されずにそのまま排出されてしまうことも。
赤石さん :
代表的なのがごま。硬い殻の中にセサミンが含まれるため、すりごまにして食べるのがおすすめです。
トマトのリコピンも生食ではなかなか吸収できません。実は加工された缶詰の方が吸収率が高いのです。
細胞を壊す方法としては、切る、加熱する、冷凍するという方法があります。水溶性ビタミンは水に流れてしまうので、さっと洗ってスープにするか、茹でずに電子レンジ過熱がおすすめです。
さらに、「酢漬け」も栄養を引き出してくれるのだとか。
島本さん :
たとえば手羽の骨にはカルシウムが入っています。バリバリ骨ごと食べられたらよいのですが、それは難しいですよね。お酢で煮たりマリネにすると、ミネラル分が溶け出して栄養を摂ることができるのです。ピクルスもいいですね。
組み合わせや調理法で、栄養の吸収がぐんと高まるなんて。最後に、おふたりが監修された『慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割』より、レシピをひとつご紹介します。小松菜、桜エビのカルシウムと小松菜のビタミンKが含まれるレシピです。
小松菜と桜エビのおひたし
カルシウムをしっかり吸収し、骨を強くします。
<材料(1人分)>
小松菜 1/2束 干し桜エビ 15g[煮汁]
だし 1/2カップ 酒 小さじ2 醤油 小さじ1 塩 少々<作り方>
小松菜は洗ってから生のまま食べやすい大きさに切って、ラップで包み、冷凍保存しておく。調理の前に自然解凍して、そのまま使用する。 鍋に煮汁の材料を入れて火にかけ、桜エビを加えてひと煮立ちさせ、火を止める。 2を冷ましてから小松菜を加える。ちょっとしたコツで、不足している栄養素を補うことができます。新型栄養失調を予防して、将来の健康を守りましょう。
前編はこちら
食事に気をつけてるのに栄養不足。不調になりやすい食生活と改善策は?
慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割
1,540円
『慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割』(PHP研究所)
栄養が効率よく摂れる、驚きの食材&食べ方を指南。女性の体の5大悩み「シミ・シワ、肥満、骨の健康、貧血、便秘」ほか、体の中からきれいになるおすすめ食品を紹介。「美活ごはん」のレシピもたっぷり紹介している。
赤石定典(あかいし・さだのり)さん
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部 係長。管理栄養士。院内での栄養指導をはじめ、各メディアで栄養の摂り方指導など、多方面で活躍中。
島本友希子(しまもと・ゆきこ)さん
東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部。糖尿病療養指導士の資格を活かし、内科班のリーダーとして入院患者さんの栄養指導を行う。
取材・文/島田ゆかり、編集/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock
コメント
完全食を自称してるソイレントなら・・・
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仙豆の発明はよう